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【運送業】ニュース

年960時間の“中間確認”促す 運送業へ点検表作成 三田労基署・上限規制対応(12/19)

東京・三田労働基準監督署(河村直子署長)は、今年4月に自動車運転者に適用された時間外労働の上限規制遵守に向け、「中間点検チェックリスト」を作成した。月ごとに時間外労働が最も長かった労働者の実績を記入していくもの。年度末に向け、特別条項付き36協定を締結している場合の年間上限960時間を超えるペースの時間外労働になっていないかを確認できる。自動車運転者には、36協定の単月100時間上限や、複数月平均80時間上限の規制が適用されないことから、「年間上限の意識が希薄なまま、いつの間にか年間上限に迫ってしまうことを防ぐ」(同労基署担当者)ため、チェックリストで意識付けを図る。

 今年4月以降、自動車運転者にも時間外労働の上限が適用され、原則月45時間、年360時間となっている。一般の労働者には設けられている45時間超の上限回数(年6回)や単月上限などは適用されないが、拘束時間や運転時間の基準となる改善基準告示を遵守する必要がある。

 チェックリストは、トラック、バス、タクシー・ハイヤーの事業者向けに、3種類を作成した。毎月の時間外労働の実績を記入し、累積して計算する形式としている。階段状の棒グラフを描き、それぞれの上部に記入欄を設けることで、視覚的にも「年間上限のイメージ」をつかみやすくしている。

 上限規制だけでなく、改善基準告示に対応して、拘束時間の状況を確認できる欄も設けた。たとえばトラック事業者向けでは、年3300時間に収まるかどうかを計算していく。

 同労基署が管轄する港区は、東京湾沿いの港南・芝浦地域を中心に、物流センターが集積している。管内にはさまざまな業種の本社が数多く立地するが、陸上貨物運送業では50人未満の中小企業が8割以上を占める。同労基署の担当者は、「事業規模が小さいところは、上限規制や拘束時間に対する意識が薄く、理解が不十分な傾向にある」と危機感を示す。

 今年4月以降に実施した監督では、複数の事業場で改善基準告示違反を確認し、是正指導している。監督時点のペースで時間外労働を続ければ、年間上限に抵触する事業場もみられた。

 チェックリストは同労基署の窓口に配架するほか、集団指導などの場で配布する。

物流特殊指定 イトーキに警告発出 運送会社が無償労働 公取委(12/12)

残業代充当分を不払い  公正取引委員会はトラック運転者の残業代に充てられる時間外費を運送会社に支払っていない疑いがあるとして、オフィス家具大手の㈱イトーキに物流特殊指定に基づく警告を発した。同指定による警告は平成21年以来15年ぶり3件目。同社は運送会社約20社に対し、長年にわたって「時間外費」の対象を納品先での作業時間に限ることで実質的な支払いを免れていたほか、配送の前後にある、積込みなどの付帯業務も無償で行わせていた。同社は物流事業者との取引を見直す方針を示している。  
物流特殊指定は独占禁止法上の告示で、荷主と物流事業者間の取引における優越的地位濫用を効果的に規制する目的で、平成16年にできた。一定の要件を満たす取引(表)を対象とし、荷主による代金の支払い遅延や減額、不当な経済上の利益の提供要請など9つの行為を禁止している。荷主の違反が疑われる場合、公取委は調査のうえ、排除措置命令や注意・警告などの措置を講じる。 表 物流特殊指定の対象となる取引 ① 荷主の資本金が3億円超かつ物流事業者の資本金が3億円以下(個人事業者を含み、資本金3億円超の事業者の子会社を除く) ② 荷主の資本金が1000万円超3億円以下かつ物流事業者の資本金が1000万円以下(個人事業者を含み、資本金3億円超の事業者の子会社を除く) ③ 荷主の取引上の地位が優越かつ物流事業者の取引上の地位が劣っている ※①~③のいずれかを満たす場合に物流特殊指定となる。①には親会社の委託を受けた元請け物流事業者が下請け物流に再委託し、親会社と下請けが資本金の要件を満たす場合を含む。③は荷主と物流事業者の関係ごとに取引依存度や荷主の市場における地位、取引先変更の可能性などを総合的に考慮  公取委はこのほど、オフィス家具の製造販売を営むイトーキに対し、不当な経済上の利益の提供要請に違反した疑いで警告を発した。警告は平成21年以来15年ぶり3件目のこと。同社は約20社の物流事業者に対し、長年にわたって、基礎作業時間を超えた業務に支払う「時間外費」の対象を限定することで、実質的な支払いを免れていた。時間外費は物流事業者が自社のトラック運転者に支給する時間外労働の割増賃金に充てられる。配送前後の付帯業務についても、無償で行わせていた。  
具体的には、時間外費の対象を納品場所である企業のオフィスや官公庁での作業時間に限定していた。実際には、納品後は梱包材などの残材を同社の倉庫に戻し、翌日の荷物を積み込む作業が残っており、とくに繁忙期となる3月はトラック運転者が時間外労働に従事せざるを得ない状況にあったという。配送の前後にある荷物の積込みや残材の引渡しなどの付帯業務は、契約で料金を取り決めていなかった。  
公取委は「物流の2024年問題が課題になるなかで、全国展開する大手企業が無償労働をさせていた事態を悪質と判断した。一部の事業者からは改善の要望も寄せられていた」と話している。警告を受けた同社は、運賃体系の見直しと書面化、過去分の支払いに応じるなど自主改善に取り組む方針を示した。

運送業・年末年始 大型物流施設に安全パト実施へ 東京労働局(12/11)

東京労働局(富田望局長)は、「年末年始SafeWork推進強調期間」の一環として、死傷者数が増加している陸上貨物運送業への対策を強化する。運送事業者が数多く出入りするターミナルへの安全パトロールを行う。同じく増加しているビルメンテナンス業にはリーフレットを配布し、労働災害防止の徹底を呼び掛ける。  同労働局管内の休業4日以上の死傷者数は、今年9月末現在で新型コロナウイルス罹患者を除いて7398人となり、前年同期から184人増加した。陸上貨物運送業は754人(前年同期比18人増)、ビルメンテナンス業は386人(同35人増)となっている。

違反是正要請92件に 関東が全国の半数占める 関東運輸局・トラックGメン(12/11)

 関東運輸局(藤田礼子局長)は、荷主企業や元請運送事業者に対し、長時間の荷待ち削減などの是正指導を行う「トラックGメン」の活動状況を公表した。Gメンが発足した昨年7月~今年9月までに、荷主等が違反行為をしている疑いが強く認められたケース92件に対し、改善に向けた要請を実施した。全国の要請件数175件のうち、半数以上を関東の事業所が占めている。  要請を行った92件を要請対象別にみると、荷主が49件、元請が43件となっている。要請の前段階となる「働き掛け」は、違反行為の疑いがある事業主に対して、406件実施した。荷主に271件、元請に122件、その他(倉庫等)に13件行っている。  同運輸局のGメンは、「発荷主側の意識はかなり改善されてきたものの、小売店など着荷主側の意識がまだ低い状況にある」と危機感を示している。今後、着荷主も参加できるセミナーなどの開催を通じて、意識啓発を狙う。  Gメンによる是正指導は、悪質な荷主などの情報収集のために設置した「目安箱」や、訪問調査・電話聴取・現場パトロールなどで得られた情報を基に行っている。関東管内ではこれまでに4336件の情報を収集した。違反行為別では、「長時間の荷待ち」が約5割、「運賃料金の不当な据置き」が約3割、「無理な運送依頼」が約1割となっている。

“しない配慮”呼掛け 時間外削減へ県民に周知 香川・公労使(12/9)

香川労働局(栗尾保和局長)は、県内の公労使30団体とともに、今年4月から時間外労働の上限規制が適用されたドライバー、医師、建設業の従業員の労働時間を削減するため、県民に過剰なサービスを求めない配慮を呼び掛ける取組みを始めた。「3つのしない配慮」のキャッチコピーを掲げ、仕事を「妨げない」「増やさない」「時間外にさせない」ことを求めるチラシを共同で作成し、協力を求めている。  運送業への配慮として、再配達を繰り返さずに済むよう、宅配ボックスや置き配の利用を勧めた。建設業では、近隣住民向けの工事説明会について、夜間や土日など勤務時間外での開催を求めないよう依頼している。  チラシは、連合香川や香川県経営者協会、県内の業界団体など、作成に協力した30団体が広報誌やホームページなどで、展開していく。同労働局監督課は、「県内の各団体が一丸となって取り組むことで、労働時間の削減につなげていきたい」と話している。

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