健診補助の充実へ 人間ドックに2万5000円 協会けんぽ(12/20)
全国健康保険協会(協会けんぽ)は来年度から、健康診断の補助などをさらに充実させていく方針を掲げた。来年度の事業計画などを議論する運営委員会で、見直し案を提示している。
具体的には、来年度から重症化予防の一貫として、胸部X線検査で要精密検査・要治療と判断された被保険者・被扶養者に対する受診勧奨を開始する。協会けんぽの加入企業に対する、メンタルヘルスセミナーや出前講座の実施体制も整備するとした。
令和8年度からは、35歳以上の被保険者が一定の項目を網羅した人間ドックを受けたとき、2万5000円の定額補助を行う。20歳、25歳、30歳の被保険者を対象とした生活習慣病予防健診を実施するほか、40歳以上の偶数年齢の女性を対象とした骨粗鬆症検診も始める。9年度には、被扶養者の健診を被保険者と同等の内容に拡充する。8年度開始の人間ドックへの定額補助なども、被扶養者が受けられるようにするとした。
まずは意識醸成から 治療との両立で講演会 千葉労働局(12/20)
千葉労働局(岩野剛局長)は12月11日、治療と仕事の両立をテーマにセミナーを開催した。自らも産業医を務めてきた千葉大学の能川浩二名誉教授が登壇し、「がんのような病気は誰でもなる。経営者、社員ともに仲間を思いやる心を持つことが最も大事」と、両立支援を進める際に必要な姿勢について語った。
能川教授は、労働衛生の目標は「従業員が安心して働いて、長生きできる会社」をめざすこととしたうえで、「上司や部下の間で、たとえ法律や制度で何かを決めても、思いやる心のような基盤がないとうまくいかない」として、意識醸成の必要性を訴えた。
時系列に基本解説 小企業向け労基法手引で 花巻労基署(12/18)
岩手・花巻労働基準監督署(熊谷久署長)は、今年4~9月に実施した監督指導で、労務管理の基本知識が不十分な小規模事業場がめだったことから、改善に向けて「労務管理の基本の“き”ハンドブック」を作成した。「採用したとき」「労働時間・休日」など10項目別に整理し、人事担当者が実務の時系列に沿って確認できるようにした。たとえば採用時の項目では、①労働条件通知書の明示、②労働者名簿の作成などについて解説している。
とくに小規模事業場では、労基署への届出について、紙媒体での届出を希望する事業場も多いため、ハンドブックにはコピーして使える様式集も盛り込んだ。
監督指導では、自社の従業員が10人以上かどうかを正確に判断できていない事業場も多かったことから、「労働者が10人以上になったとき」の項目を設けた。基本的にはアルバイトも含まれるなど、従業員数の考え方を示している。10人以上になったときに必要となる就業規則の作成・届出や、安全衛生推進者の選任なども説明した。
ハンドブックは、監督指導や集団指導の際に配布する。同労基署の担当者は、「1冊あれば実務に役立つため、活用を促したい」と話している。
3号被保険者制 段階的に廃止を 経済同友会提言(12/17)
経済同友会は、年金制度改革に関する提言をまとめた。政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」政策終了後の中期的な改革の姿がみえないとして、第3号被保険者制度の段階的廃止と、税と社会保障の一体改革に向けた基礎年金改革の検討を訴えている。
提言によると、第3号被保険者については、廃止時期をあらかじめ明示し、第2号被保険者への速やかな移行を促す。移行には5年間の猶予を設け、その初年度から第3号被保険者への新たな加入・適用は行わない。
基礎年金改革については、基礎年金部分の保険料徴収の段階的な廃止を提案。基礎年金を全額税による財源に移行させるとしている。
転嫁なしでも賃上げ 「5%以上」が2割に 中企庁調査(12/17)
中小企業庁が今年9月の価格交渉促進月間に合わせて実施したフォローアップ調査で、人件費や原材料費などの高騰分をまったく価格転嫁できなかった、または価格を下げられた企業のうち、賃金を5%以上引き上げた・引き上げる予定の企業が21・8%に上ることが分かった。中企庁は、「転嫁できなくても、人材採用などを目的に大きく賃上げせざるを得ない企業が多い」と話している。
調査は受注側企業を対象に実施し、5万1282社から回答を得た。定期昇給、ベースアップ、一時金などを含め、直近6カ月以内に実施した、または予定している賃上げの状況を聞いている。転嫁ができた割合が高い企業ほど賃上げ率も高い傾向にあり、全額転嫁できた企業は27.4%が賃上げ率5%以上だった。
一方で、全額転嫁できたにもかかわらず、まったく賃上げしなかった企業も26.2%を占める。中企庁は、「転嫁によって原資が確保できるほど賃上げしやすい傾向にあるが、転嫁分を人件費以外に充てる企業もみられる」と話している。
求人不受理を追加 改正育介法の違反で 厚労省案(12/16)
厚生労働省は、ハローワークや職業紹介事業者が求人を受理しないことができるケースとして、改正育児介護休業法に基づく柔軟な働き方を実現する措置の実施義務違反などを追加する方針だ。労働政策審議会の部会に職業安定法施行令の改正案を諮問した。
職安法では、職業紹介事業者などに対し、求人をすべて受理する義務を課している。ただし、例外として、求人企業が過去1年間に労働基準法や最低賃金法の同一項目で2回以上違反して是正指導を受けた場合や、職安法や育介法に違反し、勧告に従わず公表された場合などは、一定期間受理しないことができる。来年4月と10月の改正育介法施行に併せ、改正項目に関する違反を不受理の対象に加える。
具体的には、①介護に直面した旨を申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止、②出産時などに確認した就業条件に関する意向を理由とした不利益取扱いの禁止、③3歳~就学前の子を養育する者への柔軟な働き方実現措置の実施義務、④同措置の申出をしたことなどに対する不利益取扱いの禁止――の4項目に関する違反を追加する。
睡眠で休養取れる 過去10年で最低 厚労省調べ(12/13)
厚生労働省は、令和5年「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。ここ1カ月間、睡眠で休養が取れている者の割合は74.9%で、平成21年(2009年)からの推移で最も低い水準となった。ピークだった同24年(2012年)の84.4%から10ポイント近く落ちている。年齢階級別にみると、40~49歳代(65.3%)と30~39歳代(66.1%)が最も低かった。 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性35.2%、女性33.9%となっている。
500社超に是正指導 時間外の上限規制違反 東京労働局(12/13)
時間外労働の上限規制違反で500事業場超を指導――東京労働局は、令和5年に管内18労働基準監督署が実施した定期監督の結果を公表した。監督に入った1万4883事業場のうち、1万119事業場(68.0%)で労働基準関係法令の違反がみられ、是正指導を行っている。労基法第36条に定める上限規制に違反していたのは513事業場(3.4%)だった。厚生労働省がまとめた全国の定期監督結果における上限規制違反のうち14.6%を占めている。
同労働局は、「今年は、新たに上限規制が適用された運送業や建設業による違反もみられるため、昨年を上回る違反件数になる」と話している。
同法の違反内容で最も多かったのが「労働時間(第32条)」で、2013事業場に上った。次いで、「割増賃金(第37条)」が1693事業場、「労働条件明示(第15条)」が1074事業場となっている。
同労働局では5年の監督実施分から、上限規制違反と年次有給休暇(第39条)に関する違反がみられた事業場数の公表を開始した。年休関連の違反を指導したのは994事業場だった。
35歳33.9万円基準に(12/12)
金属関連製造業の5産別で構成する金属労協(金子晃浩議長)は、2025春闘に向けて、定期昇給などの賃金構造維持分を確保したうえで、「ベア1.2万円以上」の賃上げに取り組む方針を決めた。一方、構成産別のうち、中小労組が多く加盟するJAMは、引上げ額の要求基準を「ベア1.5万円(総額1.95万円)以上」とする方針案をまとめた。個別賃金方式での要求に取り組み、配分に関与する姿勢を強調した。35歳の標準労働者が到達すべき水準を1.5万円引き上げ、月額33.9万円と設定した。
金属労協のベア要求基準は、23年「6000円以上」、24年「1万円以上」と上昇の一途を辿っており、今回も過去最高を更新している。方針発表に当たり、金子議長は、1.2万円以上という金額の狙いについて、実質賃金の低下、1970年代から続く労働分配率の低下、製造業における労務費の割合が直近10年間でほぼ変わっていないこと、国際比較で廉価であること、業界内で格差が広がっていることなどの課題に触れ、「解決する原資が必要」と話した。
賃上げの配分に関しては、「(企業が)人手不足の対応として、初任給など、若手に多く配分する傾向はある。しばらくそういった傾向は続くと思っている」と指摘。「結果として賃金カーブが寝ることで、中堅あるいは中高年齢層に対して、相対的に成果に見合うものが配分されないということにならないよう注視していきたい」とした。
基幹産業にふさわしい賃金水準をめざす観点から設定している個別賃金水準(35歳・技能職)については、昨年に引き続き、全組合が到達すべき基準を33.4万円以上、目標とする基準を36.4万円以上とした。
JAM(安河内賢弘会長)は、「上げ幅」ではなく賃金の「絶対額」を求める個別賃金方式を基本とするスタンスを継続する。加盟組合員25万人の賃金データを参考に、一定の仕事を自分で判断し責任を持って働く人(=標準労働者)に支払うべき水準を示しているもので、30歳・35歳の到達すべき基準は昨年から1.5万円引き上げ、順に29.9万円、33.9万円としている。目標基準については、30歳が前年比1.2万円増の31.3万円、35歳が同1.4万円増の36.3万円とした。来年1月21日の中央委員会で正式に決定する。
24春闘で個別賃金方式の要求をした加盟組合の割合は、賃金要求を行った1174組合の27.9%に留まった。ただし、JAMが個別賃金要求の取組みを本格化する前の16春闘と比べると、17.2ポイント伸びている。
安河内会長は個別賃金方式での要求について、「ジョブ型であれ生活主義型であれ、モデル賃金というのはある」、「会社にとって一定の成果を上げてきた人たちがどういう賃金であるべきなのかということを労使で話し合う、いわば賃金制度をつくる取組み」と語った。個別賃金で要求しても、平均賃金で回答が返ってくることもある現状を課題視している。
鉄鋼・造船などの労組でつくる基幹労連は、ベア1.5万円を要求基準とする案をまとめた。
知恵の貸し借りから安全衛生活動強化を 中災防・全国大会(12/12)
中央労働災害防止協会は11月13〜15日、第83回全国産業安全衛生大会を広島市内で開催した。主催者を代表して十倉雅和会長があいさつし、「知恵の貸し借りといえる大会の場で得た知識を各事業場で役立ててほしい」と参加者にメッセージを送った。昨年は統計開始以来初めて4年連続で休業災害が増加する状況にあることを踏まえ、労働災害防止に一層気を引き締めて当たることを確認した。 「変わる時代に変わらぬ誓い安全・健康・平和な未来」をテーマにした大会では、安全衛生教育や化学物質管理、ゼロ災活動など10テーマの分科会を設け、全国事業場から集まった約190題の研究発表や特別講演が行われた。
ハラスメント撲滅でリーフ 厚労省(12/10)
厚生労働省は12月のハラスメント撲滅月間に合わせて、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなど「職場のハラスメント」、「就活ハラスメント」、「カスタマーハラスメント」のそれぞれの対策リーフレットを作成した。企業に対し、活用を呼び掛けている。 就職活動中やインターンシップの学生などに対するセクハラやパワハラを指す就活ハラスメントについて、リーフレットでは、企業が社会的信用を失い、企業イメージが低下する恐れや、職場でハラスメントが横行している会社と認識されて応募者が減少する可能性があると指摘した。防止に向けて、企業には、採用担当者をはじめとした従業員によるすべてのハラスメントを禁止する方針を明確にするよう促している。 ハラスメント行為者を処分する社内規定や規則を設けて周知することも求めたほか、従業員研修の継続的な実施などを推奨している。階層別研修の実施も効果的とした。
資格確認書の申請様式公表 協会けんぽ(12/9)
全国健康保険協会(協会けんぽ)はマイナ保険証を利用できない状況にある被保険者に発行する「資格確認書」(別掲)の申請書様式を公表した。資格確認書を必要とする場合、被保険者自身が氏名・住所などの被保険者情報や交付を希望する対象者などを記載し、直接協会けんぽに申請してもらいたいとしている。現行の健康保険証は令和7年12月1日まで使用可能。
12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行した。事業主が日本年金機構に提出する「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」には、「資格確認書発行要否」欄が新たに設けられる。新たな被保険者などが資格確認書を必要とする場合は、同欄にチェックを入れ届出を行うこととなる。