デジタル払い 資金移動業者2社目を指定 厚労省(2025/1/15)
厚生労働省は、賃金のデジタル払いを行える資金移動業者として、㈱リクルートMUFGビジネス(東京都千代田区、夏目英治代表取締役社長)を指定した。資金移動業者の指定は2社目。
同社のデジタル払いサービスの名称は、「COIN+(スタンダード)」で、労働者指定口座の受入れ上限額は30万円。
同社の破綻時には、保証機関の㈱三菱UFJ銀行が労働者指定口座の残高を保証する。破綻時から6営業日以内に、労働者が指定する銀行口座などに保証額を振り込む。
デジタル払いは、㈱リクルートの賃金前払いサービスを利用する企業とその従業員を対象に、1月上旬から開始する。
フリー募集も企業名明示を 公取委(2025/1/15)
公正取引委員会はフリーランス新法に関するQ&Aを更新した。フリーランスの募集に当たっても、募集企業の名称や住所、連絡先、業務内容などを明示しなければ、的確表示義務違反に当たるとしている。
公取委の対応は、インターネットでいわゆる「闇バイト」を募集する事案において、通常の募集情報と誤解を生じさせるような広告がみられる状況を受けたもの。
社内副業で成長促す 就業時間の20%目安に 三菱電機(2025/1/14)
三菱電機㈱(東京都千代田区、漆間啓社長)は今年9月末までに、社員が自発的に担当業務以外の業務を経験し、幅広い知識やスキルを身に着けられるようにするため、社内副業制度を導入する。既存の兼務制度の仕組みを利用し、副業先での働きぶりは人事評価のなかで加点していく。
社内副業に従事する時間は、所定就業時間の20%程度を目安とした。副業案件は各部門が社内イントラネットに掲示し、社員が自らの意思で応募できるようにする。募集元部門による面接を経て、マッチングが成立すれば副業開始とする。昨年10月にトライアル運用を開始した時点では、約200件の募集があり、11月末までに約20件が成立している。
昨年12月から、他社と雇用契約を締結しないことを条件に、就業時間外の社外副業も解禁した。原則として事前の届出を必須とし、業務に支障がないことや、競業しないことを条件としている。
委託元企業も監督を 労務管理システム利用で 個人情報保護委(2025/1/13)
個人情報保護委員会はクラウドを活用した人事労務管理システムを利用する際の留意点をまとめた注意喚起文書を発出した。サービス利用者である委託元企業に対し、委託先の監督を適切に実施するよう求めている。
注意喚起は令和5年6月に、クラウドを活用した人事労務管理システムを開発・運用する企業が不正アクセスを受け、多数の個人情報が漏洩した事案を受けたもの。漏洩した情報は顧客企業の従業員の氏名、生年月日、住所のほか、雇用契約書、運転免許証、住民票、健康診断書、マイナンバーなどだった。
個人情報保護委は利用企業の多くは、契約前にセキュリティ対策を確認していたものの、契約後は定期的な監査などを実施していなかったと指摘。委託後も適切な監督が必要になるとした。
暴言に「お電話切らせていただきます」…カスハラ対策の“切電マニュアル”で効果 進む従業員を悪質客から守る対策(2025/1/13)
従業員への暴言や理不尽な要求などの迷惑行為、いわゆる「カスハラ」への、企業や自治体側の対策が進められている。電話オペレーターへのカスハラが続いていた「首都高お客様センター」では、2023年から「切電マニュアル」を作成したところ、効果がでている。
■過去3年以内の「カスハラ経験」は30%以上
2024年11月25日、愛知県長久手市の携帯電話ショップで、20歳の女がスマートフォンの不具合がすぐに解消しなかったことに腹を立て、女性店員に「嫌な気持ちになったから土下座しろ」などと脅したうえ、髪の毛を掴み土下座させようとした強要未遂の疑いで逮捕された。 逮捕当時、調べに対し女は「私は脅してはいない。頭髪は引っ張りました」と容疑を一部否認していた。 調査会社のネオマーケティングが2024年9月に行ったリサーチ結果では、3年以内にカスハラを受けた経験が「ある」と答えた人は、合わせて32%で3人に1人、「よくある」と答えた人も約6%だった。
■「内容の理不尽さ」など…弁護士に聞いたカスハラとクレームとの違い
カスハラとクレームとの違いについて、弁護士に聞いた。
弁護士: 要求される内容が、理不尽なものなのかどうなのか。お前には能力がないからやめてしまえ、あるいは、言葉悪いですけどバカなんて、こういうような言葉、暴言を吐いたり、理不尽であればカスハラになりやすいですしそうでなければ、それは正当な要求だということになります。 また、ポイントは、要求する内容だけではないという。
弁護士: 内容が正当であっても、その主張される手段、方法、やり方ですよね。非常にしつこく執拗に、例えば 1回1時間、2時間とか相手を電話で拘束する、電話を切らさないようにする。それを連日のように繰り返す、要するに、内容が理不尽でなくても、手段、方法がそのような「社会的相当性」を逸脱するというようなものだとこれはカスハラになる。だから、抽象的に言えばこういう定義でこれは分けられるということになりますね。
明確な線引きはしにくいものの、内容が理不尽ではないか、また内容が正当であってもその手段も問題で、長時間拘束する、相手を罵倒・威圧する、写真を撮ってWEBに配信するといった「社会的相当性」を逸脱するものはカスハラに当たるとしている。
■全国初の「氏名公表」含めた条例案検討する自治体も…理不尽なカスハラに進む対応
しかしいま、企業側がカスハラへの対応を変えようとする動きも出ている。厚生労働省などがガイドラインを出して対策方法を提示していて、企業や自治体も進めている。
例えば当社はあるいは自治体は、カスハラに対して皆さんを守りますよと、カスタマーハラスメントは認めないですよというような宣言をし、対策をする。この流れは必然的なものだと思いますね。
吉野家ホールディングスは2024年12月、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を発表。
日本ケンタッキー・フライド・チキンも同じく12月、「カスタマーハラスメントに対する方針」を発表し、カスハラ行為をイラストで示したポスターを掲示している。
三重県桑名市の議会では12月4日、伊藤徳宇市長から、カスハラ防止条例案が提案された。市内の店舗で働く従業員などを対象に相談窓口を設置し、カスハラの相談を受けた際、対策委員会が両者の意見を聞いたうえで、カスハラと認めた場合は「警告」をする。 それでも繰り返された場合、全国で初めては、ホームページなどで「名前を公表する」としている。
■首都高は「切電マニュアル」で効果
このような対策で、既に効果が出ている企業もある。首都高での渋滞情報やルート案内などを行う「首都高お客様センター」では、1日約1700件もの問い合わせがあるが、中には、理不尽なものも多く含まれるという。 このカスハラ問題を解決のために始めたのが「切電(きりでん)マニュアル」だ。「30分以上同じ内容を繰り返し主張する」「要求内容が不当」「威圧的な発言・口調」のいずれかに当てはまる場合、相手に理由を伝えた上で電話を切るという運用を始めた。 「首都高お客様センター」では、マニュアルが策定された2023年5月から、2024年8月までに客からの電話を途中で切ったケースは22件あったが、客とのトラブルに至ったケースはないという。
首都高お客様センターの担当者:
会社が社員を守ってくれていると感じて、安心してお客様対応ができるようになったというような声が出ています。
首都高CS サステナビリティ推進部の課長:
お客様に対して真摯に対応するのは当たり前なんですが、それによって我が社の社員、オペレーターが、疲弊するということはあってはならない。
弁護士:
カスタマーハラスメントがあった場合に、従業員をしっかり守らないと、逆に訴えを起こされた場合に負けちゃうんですね。法律的な裏付けもありまして、顧客というものに対する考え方も少し変えていかなきゃいけないんじゃないのかと。 ほかにも厚労省のHPでは、大手コーヒーショップで店舗スタッフがネームプレートの名前をもとにSNSで検索されつきまとわれるトラブルが発生し、ネームプレートをイニシャル表記に変更して対策したケースも紹介されている。 また、看護師など従業員が、患者やその家族による迷惑行為に悩み、患者向けに作った相談室を、従業員の相談もできるように切り替えてケアするとともに、病院内の案内に「迷惑行為を行った場合は診療をお断りする」旨のポスターを掲示した病院もあるという。
人事異動を「原則公募制」へ 合否は事業部に一任 三井住友海上(2025/1/9)
空きポストの一斉開示で
三井住友海上火災保険㈱(東京都千代田区、舩曵真一郎社長)は、今年4月から課長級以下の社員の異動を原則公募制とする。毎年8月に各事業部が一斉に提示する空きポストに対し、異動を希望する社員が第3希望まで提出できるようにする。合否の判断は受入れ先となる事業部の部長に一任し、公募で決まらなかったポストや人材については、人事部主導で異動を実施する。公募の際は各ポストで身に着けられる「スキル」を明示。部署間異動を活性化させ、多様なスキルの習得を促す。
同社は今年4月、「スキル」に基づく評価制度の本格導入を予定している。すでに約900種類のスキルの洗出しを完了した。各事業部は公募に際して、そのポストに求められる、または身に着けられるスキルを、最大3つまで提示する。
スキルについては、各業務に紐付く「職務スキル」と、戦略立案力など全社員に求められる「共通スキル」に区分して体系化した。個々の社員が持つスキルは、上司との面談を通じて認定していく。各スキルには6段階の習熟度を設定しているが、本人の習熟度を応募の要件にはしない。まだスキルを持っていない領域も含め、社員に自律的な挑戦を促す狙いだ。
毎年4月の定期異動に向け、前年8月に空きポストを提示して募集を開始。各事業部が空きポストを把握できるよう、異動希望を提出する際は、直属の上司であるライン課長への報告を必須とした。9月中旬~10月下旬には、応募者に書類選考の合否を通知。10月中に募集元の事業部が本人と面談し、合否を決定する。結果を受けて、11月~翌年2月に人事部主導の異動について検討していく。公募の合否と併せ、2月末に異動対象者全員に一斉内示を行う。
同社はこれまで、各事業部から空きポストを提示する公募制度のほか、社員が自らのスキルや経験を売り込む制度を運用してきた。今後は「原則公募制」に一本化する。公募は年1回のみとし、期中で欠員が出た場合、人事部主導の異動やキャリア採用で対応する。
転勤の有無や範囲によるコース別管理を採用しているが、コース転換を伴う希望を出すことも認める。異動後の処遇はコースのほか、本人のグレードに基づいて決定する。職務とグレードは紐付いていないため、コースが変わらない場合は変動しない。
一方、2026年卒の新卒採用から、初期配属先となる都道府県を選んで応募できる選考採用を開始する。「社員が住みたい場所・やりたい仕事を自由に選べる」ことを重視するもので、新卒採用マイページに登録する際、事前に希望する勤務地を3つまで選んでもらった。その結果から都道府県別の予想倍率を開示している。複数地域への併願は認めていない。
採用内定 虚偽申告理由の取消し有効 経歴調査で明らかに 東京高裁(2025/1/9)
雇用されていた過去隠す
大手総合コンサルティング会社から内定を得た労働者が、経歴調査により明らかになった虚偽申告を理由とする内定取消しを不服として訴えた裁判で、東京高等裁判所(松井英隆裁判長)は一審に引き続き内定取消しを有効と判断した。応募要件の内容をみると、同社はスキルだけでなく経歴や実績などを重視していたと指摘。過去の雇用・勤務形態や経歴の空白期間の有無・理由は重要な考慮要素になるとした。労働者は履歴書の職歴欄に、IT関連の仕事を個人事業主として請け負ってきたと書いていたが、実際には複数社をトラブルにより短期離職するなどの経歴があった。
労働者は総合コンサルティング業を世界展開する東京都内の会社の中途採用に、令和4年の初めごろに応募した。応募書類として提出した履歴書と職務経歴書には、平成23年から現在まで、個人事業主としてIT関連の業務を請け負ってきたと記載していた。勤務先としては、大手システム会社や携帯電話会社などが列挙されていた。
同社は令和4年4月20日に一次面接、同年5月中旬頃に二次面接をウエブ会議により実施し、同年5月30日に雇用条件などを記載したオファーレターと雇用契約書を送付した。オファーレターに対して、労働者は承諾の意思表示をし、採用内定が成立している。
雇用契約書には特別条件として、「会社による、標準的な経歴調査に対し全面的に協力し、当該経歴調査を問題なく完了させること」を満たさない場合、会社がオファーを撤回できる規定があった。同社は同年6月上旬から、調査会社に委託する方法により、労働者の経歴調査を開始した。
労働者は調査会社から職歴確認を受け、3年6~12月までの6カ月間と、4年3月の1カ月、それぞれ別の会社に雇用されていた事実を明かした。同社は経歴調査の結果を踏まえ、同年8月15日に労働者と面談を行った。同社の事情聴取に対し、労働者は申告した2社の雇用先との間で紛争が起き、弁護士に依頼して解決を図った旨、3年12月~4年2月までの空白期間は就労しておらず、雇用先から支払われた解決金により生活をしていた旨を述べた。
同社は雇用先の社名や空白期間の有無は経歴の基本的な部分であり、事実と異なる申告をしたのは悪質な経歴詐称であると評価。労働者の経歴に傷が付くとして、自ら内定を辞退するよう促したが応じなかったため、4年8月31日、採用内定取消しを通知した。
一審の東京地方裁判所は内定取消しを有効と判断した。労働者が真実を申告しなかったのは、雇用関係の解消をめぐる紛争を隠す目的と推認。労働者が秘匿した事項は雇用関係の事実だけでなく、紛争の存在だったとした。これらは採用内定時には知ることができなかった事実であり、企業内に留めおけないほどの不正義性が認められるとして、内定取消しには合理性があるとした。
二審の同高裁も一審に引き続き、内定取消しを有効とした。労働者の年齢(当時35歳)や求人の応募要件の内容に照らせば、同社はスキルだけでなく、「物事を客観的にとらえて論理的に考えをまとめ、相手に応じた最適なコミュニケーションで仕事をこなせること」を重視していたと強調。労働者の過去の雇用・勤務形態や、経歴の空白期間の有無とその理由も重要な考慮要素になると強調した。
在宅なのに通勤手当 2年で123万円不正受給 デジタル庁職員処分(2024/12/26)
デジタル庁は25日、通勤手当約123万円を不正受給したとして、30代の女性非常勤職員を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。
同庁によると、女性は2022年7月ごろから24年6月ごろまでの間、自宅でリモートワークをしたが、出勤したと虚偽の報告を行い、通勤手当123万9020円を不正に受け取ったという。新しい勤怠システムの導入に伴い、上司が不正に気付いて発覚した。
女性はまた、22年と24年、必要な届け出をせずに海外に渡航し、計19日間欠勤したという。同庁によると、女性は反省し、不正受給額の全額を返還する意向を示しているという。
申告端緒が大幅増 定期賃金不払いで 愛知労働局・監督結果(2024/12/25)
愛知労働局(小林洋子局長)は、令和5年に実施した監督指導状況を公表した。労働者からの申立てを契機に事業場に立ち入った「申告処理」の件数が、前年比208件増の1704件と大幅に増えている。経営不振を理由とした定期賃金不払いや、時間外・休日労働の割増賃金不払いなどの「賃金不払い」がめだち、同190件増の1260件に上った。申告処理件数のうち、7割以上を占めている。
同労働局監督課は、「コロナ禍で流出した人手が戻らず、経営がうまくいかなくなり、不払いにつながっている」と分析している。
賃金不払いに次いで多かったのは、解雇予告手当の支払いがないまま解雇するなどの「解雇」159件だった。時間換算した賃金額が地域別最低賃金額を下回る「最低賃金」も93件と少なくなかった。前年から最も申告件数が伸びた業種は「接客娯楽業」で、73件増の228件に上った。「建設業」が51件増の235件、「商業」が37件増の260件と続く。
同労働局監督課は、「申告を端緒として違反が発覚し、書類送検に至ったケースもある。業種として問題があると思われるところには、重点的に監督指導に取り組んでいく」と話している。
能登半島地震対応 労働保険料延長 7年1月末まで 石川県の一部(2024/12/25)
厚生労働省は、令和6年1月の能登半島地震を受け申告・納付期限を延長してきた労働保険料や障害者雇用納付金などについて、石川県の一部地域における延長期限を7年1月31日に決定した。
対象地域は、七尾市および羽咋郡志賀町。ただし、地震により被害を受け、期限までに保険料などを収めることが困難な事業主に対しては、申請によってさらに納付を猶予する場合がある。
同県の輪島市、珠洲市、鳳珠郡穴水町、能登町の納付期限は1月末を超えて引き続き延長する。
燃料手当平均額が16.5万円に 北経連調べ(2024/12/25)
北海道経済連合会(藤井裕会長)の調査によると、世帯主に対する燃料手当の平均額は16万5269円だった。前年調査結果から1万円近く伸びている。準世帯主は10万2406円、非世帯主は7万240円。
調査は今年11月1日時点の状況を尋ねたもので、有効回答を得た165社分について集計した。燃料手当制度がある企業は79社(47.9%)だった。算出方法は「定額方式」が46社、灯油価格などに基づいて支給する「計算方式」が30社となっている。
支給方式は「一括支給」が58社に上り、うち45社が支給時期を「10月」と回答している。
積立年休対象にペット看護 博報堂JV(2024/12/25)
㈱博報堂と米国広告会社のジョイントベンチャーとして設立された㈱TBWA HAKUHODO(東京都港区、内田渉代表取締役社長)は来年度、失効する年次有給休暇を積み立てられる制度を拡充し、取得事由に「ペットの看護・介護」を追加する。ペット同伴での出勤も認める予定で、今月から犬に限って実証実験を行っている。
実験開始に当たっては、動物が苦手な者に配慮するため、社員にヒアリングを実施し、ルールを設定した。ペットは1頭ごとの登録制とし、清潔さ・しつけ・予防接種などの観点で一定のレベルに達していることを登録要件としている。同伴は事前予約制とし、1日の頭数を制限。予約状況を前週に周知し、社員が出社・来客対応などを調整できるようにしている。
現業職の女性増で健康対策強化 名古屋鉄道(2024/12/24)
名古屋鉄道㈱(愛知県名古屋市、髙﨑裕樹代表取締役社長)は、鉄道現業職の女性が10年間で1.5倍に増加し、120人に上ったことを受け、女性特有の健康課題への対策を強化している。
管理職などの理解を深めるため、今年度から外部の専門医を招聘してセミナーを開催している。来年1月にはグループ会社の役員・管理職を対象に実施する。
今年11月には、低用量ピルの処方を会社負担で受けられる仕組みも整えた。現在は毎潮3日までとしている生理休暇(有給)の日数を増やすことも検討している。
求人充足支援 「賃金相場」を23区内と比較 ハローワーク草加(2024/12/24)
埼玉・ハローワーク草加(真田和彦所長)は、求人賃金の平均値など職種別の「賃金相場」を近接する東京23区内のハローワークと比較し、窓口対応時や訪問時に求人充足に向けた助言を行っている。「昨年から始めており、事業者からはどれくらい賃金に差があるかなどを具体的に知ることができたなどの反応を得られた」(真田所長)としており、今後、求人事業所向けの訪問支援の回数を増やし、さらに助言を進めていく。
同ハローワークの管轄地域は東京都に隣接する。充足した求人の約4割が県外であり、管内事業所の人手不足が慢性的な課題となっている。
賃金相場は、同ハローワークで受理した求人賃金の上限・下限額や、求職申込書から集計した求職希望賃金を、東京のハローワーク足立および墨田のデータと比較する。「一般事務員」など職種別に一覧としてまとめ、事業者に配布している。
新たな時間法制提言 成果で評価・処遇決定へ 経団連(2024/12/24)
経団連は12月9日、日本のめざすべき姿とその実現のために必要な政策に関する提言「FUTURE DESIGN 2040」をまとめ、非定型的な業務を行うホワイトカラーの労働者を対象とした、労働時間ではなく成果で評価・処遇を決められる新しい労働時間法制の創設を求めた。
提言では、現行の弾力的な労働時間制度には専門業務型・企画業務型裁量労働制や高度プロフェッショナル制度などがあるものの、労働時間制度の「例外措置」として対象業務が厳格に限定されているうえ、手続きも煩雑といった課題を指摘している。
新たな労働時間法制では、既存の裁量労働制や高度プロフェッショナル制度を取り込むことを想定。適用労働者については、ウェアラブル端末の活用などによって、簡素な形で健康確保を図るとした。
欠員の補充は8割が「なし」 パーソル総研(2024/12/24)
㈱パーソル総合研究所は、組織に欠員が出た際の取組み状況に関する調査結果を公表した。それによると、77.0%は欠員が発生しても補充がなかったとしている。
調査は前任や後任、上司の立場で欠員発生に当たった全国の正社員1350人から回答を得た。欠員時の補充について、47.4%が「なかった・しなかった」、29.6%が「募集しているが、できていない」と答えている。上司による業務の割振りは22.4%が「指示なし」とした。指示内容は似た業務を担当している者に引き継がせる「横滑り」が48.3%で最多だった。
日本生命が営業職員を6%賃上げへ…3年連続の大幅アップで「やりがい感じ、より働くサイクル」(12/23)
日本生命保険の清水博社長はインタビューに応じ、営業職員約4万8000人を対象に2025年度、平均6%の賃上げを行う方針を明らかにした。6%以上の大幅な賃上げは3年連続となる。
清水氏は「日本生命でやりがいを感じ、より働くというサイクルを作るための重要な要素は賃上げだ」と語った。日本生命は22、23年度にそれぞれ平均7%に賃上げをした。25年度は新たに予算約100億円を増額して、賃上げに対応する。約2万人の内務職員の賃上げについても、「前向きに検討していく」と述べた。
日本生命は25年度、内務職員の人事制度を約40年ぶりに見直す。海外や全国転勤がある「総合職」、勤務地限定の「エリア総合職」、本社や支社の事務を担う「エリア業務職」を「総合基幹職」に統合し、昇給や昇進のスピードを統一する予定だ。清水氏は、「女性の活躍推進にもつながり、能力や意欲のある社員の仕事の幅を広げるきっかけになる」と強調した。
一方、日本生命は24年、介護事業などを手がけるニチイホールディングスを買収し、非保険領域を強化。課題だった海外買収も進め、米生保「コアブリッジ」の買収、今月には米豪などで事業展開する大手生保「レゾリューションライフ」に約1兆2000億円を投じる方針も打ち出した。「事業領域の拡大に向けた前進があった。これからも新たな事業領域を広げていく」と述べた。
「公募で異動」10倍に 定年後再雇用者も対象 東京ガス(12/23)
東京ガス㈱(東京都港区、笹山晋一CEO)は、人材公募制度により異動の成立した人数が、過去4年間で約10倍に増えたと発表した。今年度から、定年後再雇用者を対象とした「シニア人材公募」も開始している。
同社の人材公募制度は、人材需要を抱える職場やプロジェクトに対し、社員が自発的に応募できる仕組み。社内イントラを通じて募集をかけ、書類選考・面接で合否を決定する。社員が業務内容や各職場についての理解を深められるよう、イントラ上に全職場の「自職場PR」を掲載。公募期間中は、募集元の部署が説明会を開催している。
応募に対する異動成立の割合は、約50%程度で推移している。応募者数は4年間で19人から177人まで増加しており、23年度の異動成立人数は79人に上った。社内全体の異動の約5%を占めている。
「シニア人材公募」は、1年以内に定年(60歳)を迎える正社員と定年後再雇用者を対象としている。同社では、16年から50歳代の社員を対象としたキャリア開発支援を強化。研修や社内外コンサルタントとの面談を通じて、65歳まで働くことを見据えたキャリア設計を促している。
健診補助の充実へ 人間ドックに2万5000円 協会けんぽ(12/20)
全国健康保険協会(協会けんぽ)は来年度から、健康診断の補助などをさらに充実させていく方針を掲げた。来年度の事業計画などを議論する運営委員会で、見直し案を提示している。
具体的には、来年度から重症化予防の一貫として、胸部X線検査で要精密検査・要治療と判断された被保険者・被扶養者に対する受診勧奨を開始する。協会けんぽの加入企業に対する、メンタルヘルスセミナーや出前講座の実施体制も整備するとした。
令和8年度からは、35歳以上の被保険者が一定の項目を網羅した人間ドックを受けたとき、2万5000円の定額補助を行う。20歳、25歳、30歳の被保険者を対象とした生活習慣病予防健診を実施するほか、40歳以上の偶数年齢の女性を対象とした骨粗鬆症検診も始める。9年度には、被扶養者の健診を被保険者と同等の内容に拡充する。8年度開始の人間ドックへの定額補助なども、被扶養者が受けられるようにするとした。
まずは意識醸成から 治療との両立で講演会 千葉労働局(12/20)
千葉労働局(岩野剛局長)は12月11日、治療と仕事の両立をテーマにセミナーを開催した。自らも産業医を務めてきた千葉大学の能川浩二名誉教授が登壇し、「がんのような病気は誰でもなる。経営者、社員ともに仲間を思いやる心を持つことが最も大事」と、両立支援を進める際に必要な姿勢について語った。
能川教授は、労働衛生の目標は「従業員が安心して働いて、長生きできる会社」をめざすこととしたうえで、「上司や部下の間で、たとえ法律や制度で何かを決めても、思いやる心のような基盤がないとうまくいかない」として、意識醸成の必要性を訴えた。
勤務間休息の法規制強化へ 導入義務化を視野に 厚労省研究会・報告書案(12/19)
適用除外や代替措置認め
厚生労働省は12月10日、労働基準関係法制研究会(座長=荒木尚志東京大学大学院教授)を開き、労働時間法制などの見直しに関する報告書案を提示した。終業から次の始業まで一定時間を確保する勤務間インターバル制度について、義務化を視野に入れつつ、法規制の強化を検討する必要があるとした。規制の方向性として、11時間のインターバル確保を原則としたうえで、適用除外職種や、確保できなかった場合の代替措置を労使合意などで決定できるようにする案などを示している。
報告書案では、勤務間インターバルの法規制の強化や、法定休日の特定、連続勤務日数の上限設定など、「労働からの解放に関する規制」の強化を打ち出した。
勤務間インターバルについては現在、労働時間等設定改善法が事業主の努力義務を定めているものの、具体的なインターバルの時間数や対象者、導入に当たっての留意事項などは示していない。厚労省の「導入・運用マニュアル」が時間数や対象者設定の留意点などを紹介しているのみで、令和5年1月時点の導入企業割合は6.0%に留まっている。
このため、報告書案では、抜本的な導入促進と、義務化を視野に入れた法規制の強化について検討する必要があると指摘した。
企業に求めるインターバル制度の設計例として、11時間の確保を原則としたうえで、適用除外職種などの設定や、11時間を確保できなかったときの代替措置を法令や労使合意などで決定する仕組みを挙げた。
併せて、11時間よりも短い時間を義務付けつつ、適用除外職種の設定などをより限定した制度とする案や、規制の適用に経過措置を設定し、全面施行までに一定の期間を設ける案も盛り込んだ。規制強化に当たっては、多くの企業が導入しやすい形でスタートするなど、段階的に実効性を高めていく手法が望ましいとしている。
インターバルの代替措置を巡っては、労使協議に基づいて利用回数に上限を設定するといった対応案のほか、健康観察や面接指導などの事後的なモニタリングではなく、代償休暇など労働からの解放を確保するのが望ましいとの考え方を示している。
義務化の度合いについても、複数のパターンを提示した。労基法による強行的な義務とする案のほか、労働時間等設定改善法で導入を義務付けたり、配慮を求める規定を創設したりする案、勤務間インターバル制度を就業規則の記載事項に追加したうえで行政指導の手法で普及促進を図る案などを挙げている。
報告書案ではこのほか、定期的に休日を確保する観点から、労基法で13日を超える連続勤務を禁止するよう提言した。ただし、災害復旧などやむを得ない事情がある場合の例外措置を検討するべきとした。
最低賃金、職種で差別化を=運転手や介護「高水準に」―新浪代表幹事(2024/12/19)
経済同友会の新浪剛史代表幹事は時事通信などのインタビューに応じ、最低賃金の引き上げに関して「(社会機能を支える)エッセンシャルワーカーは高水準にすべきだ」と主張、職種ごとに最低賃金の差別化が必要との考えを示した。新浪氏は3年以内に最低賃金を全国平均で1500円へ引き上げるよう石破政権に提案している。
差別化する職種の範囲は「議論が必要だ」としつつ、運送トラックやタクシーの運転手、建設業や介護職従事者など「広く捉えないと社会は構成できない」と指摘。その上で、こうした職種は「(賃金)水準を1.5倍ぐらいにしなければ人材はなかなか集まらない」との認識を示した。
新浪氏は、2025年について「賃上げ定着の天王山であり、働く人が将来に希望を持つ仕組みづくりに取りかかる年だ」と定義。「経済・社会の転換に向け、全世代で人材の大移動時代になる」と述べ、労働市場改革の必要性を訴えた。
また、サービス産業や農業、漁業などに多くの外国人材が従事している実態を踏まえ、「出入国管理法とは別に、外国人材と共生するための新たな基本法の制定が必要だ」と提案した。
時系列に基本解説 小企業向け労基法手引で 花巻労基署(12/18)
岩手・花巻労働基準監督署(熊谷久署長)は、今年4~9月に実施した監督指導で、労務管理の基本知識が不十分な小規模事業場がめだったことから、改善に向けて「労務管理の基本の“き”ハンドブック」を作成した。「採用したとき」「労働時間・休日」など10項目別に整理し、人事担当者が実務の時系列に沿って確認できるようにした。たとえば採用時の項目では、①労働条件通知書の明示、②労働者名簿の作成などについて解説している。
とくに小規模事業場では、労基署への届出について、紙媒体での届出を希望する事業場も多いため、ハンドブックにはコピーして使える様式集も盛り込んだ。
監督指導では、自社の従業員が10人以上かどうかを正確に判断できていない事業場も多かったことから、「労働者が10人以上になったとき」の項目を設けた。基本的にはアルバイトも含まれるなど、従業員数の考え方を示している。10人以上になったときに必要となる就業規則の作成・届出や、安全衛生推進者の選任なども説明した。
ハンドブックは、監督指導や集団指導の際に配布する。同労基署の担当者は、「1冊あれば実務に役立つため、活用を促したい」と話している。
3号被保険者制 段階的に廃止を 経済同友会提言(12/17)
経済同友会は、年金制度改革に関する提言をまとめた。政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」政策終了後の中期的な改革の姿がみえないとして、第3号被保険者制度の段階的廃止と、税と社会保障の一体改革に向けた基礎年金改革の検討を訴えている。
提言によると、第3号被保険者については、廃止時期をあらかじめ明示し、第2号被保険者への速やかな移行を促す。移行には5年間の猶予を設け、その初年度から第3号被保険者への新たな加入・適用は行わない。
基礎年金改革については、基礎年金部分の保険料徴収の段階的な廃止を提案。基礎年金を全額税による財源に移行させるとしている。
転嫁なしでも賃上げ 「5%以上」が2割に 中企庁調査(12/17)
中小企業庁が今年9月の価格交渉促進月間に合わせて実施したフォローアップ調査で、人件費や原材料費などの高騰分をまったく価格転嫁できなかった、または価格を下げられた企業のうち、賃金を5%以上引き上げた・引き上げる予定の企業が21・8%に上ることが分かった。中企庁は、「転嫁できなくても、人材採用などを目的に大きく賃上げせざるを得ない企業が多い」と話している。
調査は受注側企業を対象に実施し、5万1282社から回答を得た。定期昇給、ベースアップ、一時金などを含め、直近6カ月以内に実施した、または予定している賃上げの状況を聞いている。転嫁ができた割合が高い企業ほど賃上げ率も高い傾向にあり、全額転嫁できた企業は27.4%が賃上げ率5%以上だった。
一方で、全額転嫁できたにもかかわらず、まったく賃上げしなかった企業も26.2%を占める。中企庁は、「転嫁によって原資が確保できるほど賃上げしやすい傾向にあるが、転嫁分を人件費以外に充てる企業もみられる」と話している。
求人不受理を追加 改正育介法の違反で 厚労省案(12/16)
厚生労働省は、ハローワークや職業紹介事業者が求人を受理しないことができるケースとして、改正育児介護休業法に基づく柔軟な働き方を実現する措置の実施義務違反などを追加する方針だ。労働政策審議会の部会に職業安定法施行令の改正案を諮問した。
職安法では、職業紹介事業者などに対し、求人をすべて受理する義務を課している。ただし、例外として、求人企業が過去1年間に労働基準法や最低賃金法の同一項目で2回以上違反して是正指導を受けた場合や、職安法や育介法に違反し、勧告に従わず公表された場合などは、一定期間受理しないことができる。来年4月と10月の改正育介法施行に併せ、改正項目に関する違反を不受理の対象に加える。
具体的には、①介護に直面した旨を申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止、②出産時などに確認した就業条件に関する意向を理由とした不利益取扱いの禁止、③3歳~就学前の子を養育する者への柔軟な働き方実現措置の実施義務、④同措置の申出をしたことなどに対する不利益取扱いの禁止――の4項目に関する違反を追加する。
睡眠で休養取れる 過去10年で最低 厚労省調べ(12/13)
厚生労働省は、令和5年「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。ここ1カ月間、睡眠で休養が取れている者の割合は74.9%で、平成21年(2009年)からの推移で最も低い水準となった。ピークだった同24年(2012年)の84.4%から10ポイント近く落ちている。年齢階級別にみると、40~49歳代(65.3%)と30~39歳代(66.1%)が最も低かった。 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性35.2%、女性33.9%となっている。
500社超に是正指導 時間外の上限規制違反 東京労働局(12/13)
時間外労働の上限規制違反で500事業場超を指導――東京労働局は、令和5年に管内18労働基準監督署が実施した定期監督の結果を公表した。監督に入った1万4883事業場のうち、1万119事業場(68.0%)で労働基準関係法令の違反がみられ、是正指導を行っている。労基法第36条に定める上限規制に違反していたのは513事業場(3.4%)だった。厚生労働省がまとめた全国の定期監督結果における上限規制違反のうち14.6%を占めている。
同労働局は、「今年は、新たに上限規制が適用された運送業や建設業による違反もみられるため、昨年を上回る違反件数になる」と話している。
同法の違反内容で最も多かったのが「労働時間(第32条)」で、2013事業場に上った。次いで、「割増賃金(第37条)」が1693事業場、「労働条件明示(第15条)」が1074事業場となっている。
同労働局では5年の監督実施分から、上限規制違反と年次有給休暇(第39条)に関する違反がみられた事業場数の公表を開始した。年休関連の違反を指導したのは994事業場だった。
35歳33.9万円基準に(12/12)
金属関連製造業の5産別で構成する金属労協(金子晃浩議長)は、2025春闘に向けて、定期昇給などの賃金構造維持分を確保したうえで、「ベア1.2万円以上」の賃上げに取り組む方針を決めた。一方、構成産別のうち、中小労組が多く加盟するJAMは、引上げ額の要求基準を「ベア1.5万円(総額1.95万円)以上」とする方針案をまとめた。個別賃金方式での要求に取り組み、配分に関与する姿勢を強調した。35歳の標準労働者が到達すべき水準を1.5万円引き上げ、月額33.9万円と設定した。
金属労協のベア要求基準は、23年「6000円以上」、24年「1万円以上」と上昇の一途を辿っており、今回も過去最高を更新している。方針発表に当たり、金子議長は、1.2万円以上という金額の狙いについて、実質賃金の低下、1970年代から続く労働分配率の低下、製造業における労務費の割合が直近10年間でほぼ変わっていないこと、国際比較で廉価であること、業界内で格差が広がっていることなどの課題に触れ、「解決する原資が必要」と話した。
賃上げの配分に関しては、「(企業が)人手不足の対応として、初任給など、若手に多く配分する傾向はある。しばらくそういった傾向は続くと思っている」と指摘。「結果として賃金カーブが寝ることで、中堅あるいは中高年齢層に対して、相対的に成果に見合うものが配分されないということにならないよう注視していきたい」とした。
基幹産業にふさわしい賃金水準をめざす観点から設定している個別賃金水準(35歳・技能職)については、昨年に引き続き、全組合が到達すべき基準を33.4万円以上、目標とする基準を36.4万円以上とした。
JAM(安河内賢弘会長)は、「上げ幅」ではなく賃金の「絶対額」を求める個別賃金方式を基本とするスタンスを継続する。加盟組合員25万人の賃金データを参考に、一定の仕事を自分で判断し責任を持って働く人(=標準労働者)に支払うべき水準を示しているもので、30歳・35歳の到達すべき基準は昨年から1.5万円引き上げ、順に29.9万円、33.9万円としている。目標基準については、30歳が前年比1.2万円増の31.3万円、35歳が同1.4万円増の36.3万円とした。来年1月21日の中央委員会で正式に決定する。
24春闘で個別賃金方式の要求をした加盟組合の割合は、賃金要求を行った1174組合の27.9%に留まった。ただし、JAMが個別賃金要求の取組みを本格化する前の16春闘と比べると、17.2ポイント伸びている。
安河内会長は個別賃金方式での要求について、「ジョブ型であれ生活主義型であれ、モデル賃金というのはある」、「会社にとって一定の成果を上げてきた人たちがどういう賃金であるべきなのかということを労使で話し合う、いわば賃金制度をつくる取組み」と語った。個別賃金で要求しても、平均賃金で回答が返ってくることもある現状を課題視している。
鉄鋼・造船などの労組でつくる基幹労連は、ベア1.5万円を要求基準とする案をまとめた。
知恵の貸し借りから安全衛生活動強化を 中災防・全国大会(12/12)
中央労働災害防止協会は11月13〜15日、第83回全国産業安全衛生大会を広島市内で開催した。主催者を代表して十倉雅和会長があいさつし、「知恵の貸し借りといえる大会の場で得た知識を各事業場で役立ててほしい」と参加者にメッセージを送った。昨年は統計開始以来初めて4年連続で休業災害が増加する状況にあることを踏まえ、労働災害防止に一層気を引き締めて当たることを確認した。 「変わる時代に変わらぬ誓い安全・健康・平和な未来」をテーマにした大会では、安全衛生教育や化学物質管理、ゼロ災活動など10テーマの分科会を設け、全国事業場から集まった約190題の研究発表や特別講演が行われた。
ハラスメント撲滅でリーフ 厚労省(12/10)
厚生労働省は12月のハラスメント撲滅月間に合わせて、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなど「職場のハラスメント」、「就活ハラスメント」、「カスタマーハラスメント」のそれぞれの対策リーフレットを作成した。企業に対し、活用を呼び掛けている。 就職活動中やインターンシップの学生などに対するセクハラやパワハラを指す就活ハラスメントについて、リーフレットでは、企業が社会的信用を失い、企業イメージが低下する恐れや、職場でハラスメントが横行している会社と認識されて応募者が減少する可能性があると指摘した。防止に向けて、企業には、採用担当者をはじめとした従業員によるすべてのハラスメントを禁止する方針を明確にするよう促している。 ハラスメント行為者を処分する社内規定や規則を設けて周知することも求めたほか、従業員研修の継続的な実施などを推奨している。階層別研修の実施も効果的とした。
資格確認書の申請様式公表 協会けんぽ(12/9)
全国健康保険協会(協会けんぽ)はマイナ保険証を利用できない状況にある被保険者に発行する「資格確認書」(別掲)の申請書様式を公表した。資格確認書を必要とする場合、被保険者自身が氏名・住所などの被保険者情報や交付を希望する対象者などを記載し、直接協会けんぽに申請してもらいたいとしている。現行の健康保険証は令和7年12月1日まで使用可能。
12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行した。事業主が日本年金機構に提出する「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」には、「資格確認書発行要否」欄が新たに設けられる。新たな被保険者などが資格確認書を必要とする場合は、同欄にチェックを入れ届出を行うこととなる。