直接払いに違反せず 人材紹介業の振込代行で 厚労省(7/10)
厚生労働省は、1日単位の人材紹介と労務管理システム、賃金支払い代行サービスを組み合わせた新規事業について、グレーゾーン解消制度に基づき、労働基準法第24条の賃金直接払いの原則には違反しないとの見解を示した。新サービスでは、第三者が労働者へ賃金を立替払いし、求人企業へ紹介手数料と立替賃金を請求する仕組みで、代行手数料は1件当たり200円を想定している。厚生労働省は、賃金が労働者へ支払われるまで使用者の支払義務が消滅しないことや、システム上で労働者・使用者双方が支払状況をリアルタイムで確認できることから、賃金直接払いの原則に抵触しないと判断した。
■感想
近年は給与の即時払いサービスなど、新たな賃金支払方法が広がっています。今回の見解では、「第三者が支払うこと」ではなく、「最終的な支払責任が誰にあるか」が重要であることが改めて示されました。人材紹介やスポットワークの普及に伴い、今後も多様な賃金支払サービスが登場すると考えられますが、企業としては労働基準法第24条の趣旨を踏まえ、最終的な賃金支払義務を適切に管理することが重要になるでしょう。
労保料認定処分 あんしん財団の申立て退ける 業務上疾病に該当 行政不服審査会(7/9)
総務省の行政不服審査会は、一般財団法人あんしん財団が労働保険料額の認定処分の取消しを求めた不服申立てについて、棄却が妥当とする答申をまとめた。同財団の令和5年度の認定保険料額は約3,042万円で、このうち約81万円は精神障害の労災認定に伴うメリット制適用による増額分だった。審査会は、営業目標未達や転勤に関する出来事を総合評価した結果、心理的負荷は「強」に当たり業務上疾病と認められると判断し、労災認定および労働保険料額の認定処分はいずれも適正とした。最高裁判決を受け、事業主は労災認定自体ではなく、保険料額認定処分に対して不服申立てを行うことができることも改めて示された。
■感想
メリット制が適用される事業場では、労災認定が労働保険料に直接影響を及ぼすため、事業主にとって重要な判断となります。今回の事案では、精神障害の業務起因性だけでなく、保険料額認定処分に対する不服申立ての位置付けも改めて整理されました。精神障害の労災認定では、個々の出来事だけでなく複数の出来事を総合的に評価して心理的負荷を判断する点が、実務上の重要なポイントといえます。
人事に生理痛体験会 休暇取得率の向上めざし 福岡県(7/8)
福岡県は、生理休暇の取得促進を目的として、県内企業の人事労務担当者や事業主向けの啓発セミナーを開催する。セミナーでは、女性特有の健康課題に関する講義に加え、専用機器を用いた生理痛の疑似体験やグループワーク、国の助成金の紹介を実施する。開催は9月に7回、11月に8回の計15回で、各回の定員は約50人としている。厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査では、生理休暇を請求した女性労働者の割合は0.9%と1%を下回っており、福岡県は企業の理解促進と職場環境の整備につなげたい考えである。
■感想
生理休暇は法律で定められた制度である一方、実際の取得率は0.9%と非常に低い状況です。制度があっても利用しにくい職場環境では十分に機能しません。今回のように、人事担当者や管理職が健康課題を体験的に学ぶ取組みは、制度への理解を深めるきっかけになると考えられます。今後は、生理休暇に限らず、誰もが安心して相談・利用できる職場環境づくりや、健康と仕事の両立を支援する取組みがますます重要になっていくでしょう。
障害者就職件数は11.5万件に 7年度・厚労省(7/7)
厚生労働省は、ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況を取りまとめた。令和7年度の就職件数は、過去最多の6年度に比べて0.4%少ない11万5178件で、過去2番目に高い水準だった。就労継続支援A型事業所への就職件数が減ったことが、全体の減少につながったとしている。 新規求職申込件数は前年度比3.7%増の27万8136件で、過去最多を更新した。身体障害者や知的障害者が減少する一方、精神障害者が前年度比7.9%増と全体を押し上げた。
犯罪巻込まれ防止へリーフ 技能実習機構(7/7)
外国人技能実習機構は、技能実習生が犯罪に巻き込まれることを防止するため、周知用リーフレットを作成した。近年、犯罪組織がSNSなどを利用して、仕事のあっせんや失踪を持ちかける事例が確認されていることを受けた取組みである。リーフレットでは、犯罪への勧誘例として、自分名義の銀行口座や携帯電話を他人に譲渡する行為などを紹介し、犯罪に加担しないよう注意を呼び掛けている。技能実習生に対する犯罪被害や犯罪利用の防止を目的に、適切な情報提供と注意喚起を進めていくとしている。
■感想
技能実習生を狙った犯罪の手口は年々巧妙化しており、SNSを利用した勧誘も増加しています。受入企業においては、制度や業務の説明だけでなく、日本で生活する上でのルールや犯罪に巻き込まれないための注意点についても継続的に周知することが重要です。技能実習生が安心して働き、生活できる環境づくりのためにも、日頃から相談しやすい体制を整えておくことが求められます。
中小の4割が無料版 AI学習で流出リスク 東商(7/6)
東京商工会議所は、東京23区内の中小企業1,272社を対象に実施した生成AIの活用状況調査の結果を公表した。生成AIを活用している企業は83.9%に上る一方、43.2%が無料版のみを利用していた。また、40.3%の企業は「個人レベルで活用している」と回答し、AI利用に関する社内ルールや管理体制の整備が課題となっている。実際に、生成AIの利用指針やガイドラインを策定している企業は7.7%にとどまった。東京商工会議所は、無料版では入力内容がAIの学習に利用される可能性があり、機密情報の流出リスクがあるとして、有料版の活用や社内ルールの整備を呼びかけている。
■感想
生成AIは多くの中小企業で活用が進む一方、利用ルールの整備が追いついていない実態が明らかになりました。業務効率化のメリットを最大限に活かすためには、ツールを導入するだけでなく、利用目的や入力してよい情報、禁止事項などを明確にした社内ガイドラインの整備が重要です。今後は、情報漏えい対策や社員教育も含めたAIガバナンスの構築が、企業にとってますます重要になると考えられます。
中小向け助成金増額で介護休暇の有給導入を支援(7/3)
厚労省は2026年度から、両立支援等助成金介護離職防止支援コースで「介護休暇制度有給化支援」を新設し、1人10時間以上の取得実績があった中小企業に30万円(10日以上の有給休暇を付与する場合50万円)を支給している。原則無給の介護休暇を有給にしている企業は3割程度であるため、有給導入企業の拡大に向け、中小企業事業主による仕事と介護の両立支援を後押しする。
報告義務新設で通達 個人事業者の業務上災害 厚労省(7/3)
厚生労働省は、2027年1月から開始される個人事業者の業務上災害報告制度について、改正労働安全衛生規則の施行通達を公表した。改正後は、個人事業者が業務上災害により死亡または4日以上休業した場合、同一現場で業務を行う直近上位の注文者(特定注文者)に労働基準監督署への報告義務が課される。通達では、本人から報告を受けた場合に加え、災害を目撃した場合や救助・救急搬送を把握した場合も「災害発生を把握したとき」に該当すると明示した。一方、被災者が報告せず立ち去るなど、特定注文者の責めによらず災害を把握できなかった場合は、報告義務の対象外としている。
■感想
フリーランスや一人親方など個人事業者の増加を踏まえ、安全衛生管理の対象が広がる動きが進んでいます。今回の制度では、災害発生時の報告主体や「把握したとき」の判断基準が具体的に示されたことで、現場での対応がより明確になりました。建設業や運送業など個人事業者との取引が多い企業では、新制度の開始に向けて報告フローや社内ルールをあらかじめ整備しておくことが重要となりそうです。
地域別最賃発効日 後ろ倒しなら理由明示へ 影響議論して決定(7/2)
中央最低賃金審議会は、地域別最低賃金の発効日に関する「考え方」を取りまとめた。2025年度改定では、引上げ額の目安としてA・Bランク63円、Cランク64円(過去最高)が示され、39道府県が目安を上回る答申を行い、このうち11県は10~18円上乗せした。一方、27府県が発効日を11月以降とする「指定日発効」を採用し、地域間で最大6か月の差が生じた。中賃審は、発効日を引上げ額確保のための過度な交渉材料とすべきではないとし、指定日発効を採用する場合は、労働者や企業への影響、地域事情などを十分に議論したうえで判断理由を明らかにするよう求めている。
■感想
今年も最低賃金改定の議論が本格化しています。今回の取りまとめでは、引上げ額だけでなく「発効日」の考え方が整理された点が大きなポイントです。企業にとっては賃金改定や給与システムの変更準備が必要となる一方、労働者にとっては賃金引上げが早期に反映されることも重要です。今後の最低賃金審議では、金額だけでなく発効時期や地域の実情を踏まえた議論にも注目していきたいと思います。
学童保育「育休で退所」の運用ルール 見直しを要請(7/1)
黄川田少子化相は30日、学童保育(放課後児童クラブ)において、主要都市の6割弱が育児休業世帯の児童を退所させる運用をしていた件について、全国の自治体に対し、29日付で家庭や子どもの事情等に配慮して受入れを検討するよう、一律の退所ルール見直しを求めたことを明らかにした。また、自治体とともに受入れ枠の拡大を図っていく考えを示した。
労基法確認表を作成・送付 和歌山労基署(7/1)
和歌山労働基準監督署(雑賀秀元署長)は「労働基準法等チェックリスト」を作成した。割増賃金の算定方法や各種協定の届け出時の注意点など、41項目の確認を求めている。リストは36協定や就業規則の未届けが疑われる事業場へ、働き方改革推進支援センターの紹介リーフレットなどを同封し送付する。送付先は約300事業場に上るとした。
同労基署には、割増賃金の算定時の手当の扱いや始業時間前にタイムカードを打刻した際の労働時間の扱いなどについて、労使双方から多くの相談が寄せられている。リスト作成は各事業場での自主的な法令遵守を促す狙い。
建設業の退職金増額へ 建退共運用利回り引上げ(7/1)
厚生労働省は30日、労働政策審議会の部会で建設業の退職金(建設業退職金共済制度)の予定運用利回りを、現行の1.3%から1.5%に引き上げる中小企業退職金共済法施行令の改正に関する諮問への答申を受け取った。引上げにより、掛金の納付年数が30年の場合は退職金が約10万円、40年の場合は約20万円増額すると想定。近く閣議決定し、10月より施行する。