加入上限年齢を検討 財形の非課税限度額も 労政審分科会(7/31)
厚生労働省は、労働政策審議会勤労者生活分科会において、勤労者財産形成促進制度(財形制度)の見直しに向けた議論を開始した。高齢期の就業拡大や社会・経済情勢の変化を踏まえ、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の加入開始可能年齢の上限や、年金・住宅貯蓄を合算した非課税限度額550万円の見直しを検討する。非課税限度額は1994年の改正以降据え置かれており、物価や賃金の上昇、住宅価格の高騰などを踏まえた議論が行われる。また、高齢期の小規模リフォームなど多様な住宅ニーズに対応できるよう、住宅貯蓄の払出し要件の見直しも検討し、2026年12月頃の取りまとめを目指している。
■感想
財形制度は、給与天引きで計画的に資産形成ができる制度ですが、制度創設当時と比べて就業年齢や住宅事情は大きく変化しています。今回の見直しでは、高齢期まで働く人が増えている現状に合わせた加入年齢の緩和や、30年以上据え置かれている非課税限度額の見直しが期待されます。企業にとっても、福利厚生制度の充実や従業員の資産形成支援は人材確保・定着につながる重要な施策であり、今後の制度改正の動向に注目しておきたいところです。
カスハラ 信頼破壊は調剤拒否可能 未払い継続も対象に 厚労省(7/30)
厚生労働省は、薬剤師法に定める調剤応需義務について通知を発出し、カスタマーハラスメントにより患者との信頼関係が破壊された場合は、正当な理由として調剤を拒否できるとの考え方を示した。判断は「カスハラへの該当性」と「信頼関係の喪失」の2段階で行い、暴力や威嚇、暴言、執拗な謝罪要求、不当な追及などが対象となる。また、悪意ある未払いが継続し再度未払いとなる可能性が高い場合や、支払い意思が認められない場合も調剤拒否が可能な事例として整理された。背景には、日本薬剤師会の調査でカスハラ対応に30分以上を要した薬剤師が約半数に上るなど、現場の負担が深刻化している実態がある。
■感想
今回の通知は、薬剤師の調剤応需義務とカスタマーハラスメント対策との関係を初めて具体的に整理した点で大きな意義があります。2026年10月施行の改正労働施策総合推進法と判断基準を統一したことから、医療機関や薬局だけでなく、あらゆる業種のカスハラ対策にも参考となる内容です。企業は、悪質な迷惑行為に対する対応方針や判断基準を明確化するとともに、従業員が安心して業務に従事できるよう、マニュアル整備や教育、相談体制の充実を進めることが重要です。
食品消費税1% 首相が27年4月実施方針を表明(7/30)
高市首相は7月30日の会見で、食料品の消費税率を2027年4月から2年間1%へ引き下げ、加えて27年6月から中低所得者向けの1%相当分給付により、対象者の負担を「実質ゼロ」とする方針を表明した。同日の自民党臨時役員会にて8月上旬までの党内意見集約を指示しており、党了承を得て早期の閣議決定、臨時国会への法案提出を目指す。29年度に本格導入する「所得に連動したきめ細かな給付」までのつなぎとして、税率は2年後に戻す。財源をめぐる具体策は明示せず。
地図から求人検索 「就職先の幅が広がる」声 ハローワーク足立(7/29)
東京・ハローワーク足立は、地元就職を希望する求職者向けに、求人を地図上で検索できる「ハローマップ足立・荒川」を開設した。足立区・荒川区を就業地とする求人事業所の所在地を地図上に表示し、ピンを選択すると会社名や職種、求人票を確認できる。利用者からは、自宅近くの求人を見つけやすくなり、職種や業種の選択肢が広がったとの声が寄せられている。また、人手不足が深刻な看護・介護・保育分野に特化した「特化版ハローマップ」も導入し、求職者と事業者双方の利便性向上を図っている。
■感想
求人情報を地図上で可視化する取組みは、求職者が通勤距離や生活圏を踏まえて仕事を探しやすくなる点で大きなメリットがあります。特に医療・介護・保育など地域密着型の業種では、勤務地の分かりやすさが応募意欲につながる可能性があります。人材確保に悩む企業にとっても、従来の求人票だけでは届かなかった求職者へのアプローチが期待できるため、ハローワークの新たなサービスを積極的に活用し、求人票の内容充実とあわせて採用力向上につなげることが重要です。
27年度予算の概算要求基準 閣議了解 (7/29)
政府は2027年度予算の概算要求基準を、30日の臨時閣議で了解した。成長分野・危機管理投資に繋がる予算は「シーリング(天井)」を設けず、大胆な投資を促す。具体的な金額を示さない事項要求も認める。補正予算で追加的に要求していた予算も、当初予算での要求を求める。成長投資に含まれない予算は26年度予算から20%増まで認める。社会保障費は高齢化等に伴う自然増を3,900億円と見込み、ここに賃上げなどの加算を認める。各省庁は財務省に8月末までに概算要求を提出する。
時間や回数に目安を カスハラ対策の講演会(7/28)
兵庫県社会保険労務士会は、兵庫県経営者協会、連合兵庫と共同で、カスタマーハラスメント対策をテーマとしたセミナーを開催した。基調講演では成蹊大学法学部の原昌登教授が、企業が対応ルールを策定する際には「対応時間」や「対応回数」などの客観的な基準を設けることが重要であると解説した。また、著しい暴言や悪質な迷惑行為については、早期に対応を打ち切るなどの措置も必要とした。閉会あいさつでは、カスタマーハラスメント対策は顧客や取引先、働く人すべてを尊重し、健全な関係を築くための取組みであるとして、社労士の活用を呼び掛けた。
■感想
カスタマーハラスメント対策では、「どこまで対応するのか」を現場任せにせず、企業として明確なルールを定めることが重要です。特に対応時間や対応回数など客観的な基準を設けることで、従業員が安心して対応でき、判断のばらつきも防ぐことができます。2026年にはカスタマーハラスメント対策の義務化も予定されており、企業には対応方針やマニュアルの整備、従業員教育、相談体制の構築など、実効性のある対策を進めることが求められます。
荷待ち時間等が1時間減少に 国交省(7/27)
国土交通省は、トラック運転者の1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果を公表した。2025年4~8月の通常期における代表的な1日の運行では、平均拘束時間は10時間13分となり、前年度調査の11時間46分から1時間33分短縮した。改善の主な要因は、荷待ち・荷役・附帯作業時間の減少で、荷待ち時間は1時間(前年度1時間28分)、荷役時間は48分(同1時間34分)、附帯作業時間は14分(同16分)となった。一方、運転時間は5時間52分で前年度とほぼ横ばい、休憩時間は1時間41分とわずかに減少している。
■感想
今回の調査結果は、物流業界が進める荷待ち時間や荷役作業の改善が一定の成果を上げていることを示しています。2024年問題への対応が進む中、拘束時間の短縮は運転者の負担軽減や労働環境の改善につながる前向きな動きといえます。一方で、運転時間はほぼ変わらず、休憩時間も微減していることから、今後は荷主・運送事業者双方が連携し、積み下ろし作業の効率化や予約受付システムの活用などをさらに進め、持続可能な物流体制の構築を目指すことが重要です。
改正労災法が成立 請求権消滅時効を延長(7/24)
労災保険給付請求権の消滅時効延長や遺族補償年金制度の見直しを盛り込んだ改正労災保険法が、2026年7月10日に成立した。施行日は一部を除き2027年4月1日である。脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾病など、労災該当性の判断が難しい疾病については、療養補償給付や休業補償給付などの請求権の消滅時効が現行の2年から5年へ延長される。また、遺族補償年金では、夫にのみ課されていた年齢要件を撤廃し、遺族が1人の場合の年金額を給付基礎日額175日分に統一する。このほか、暫定任意適用事業の廃止や特別加入団体の要件見直しも盛り込まれた。
■感想
今回の法改正は、精神障害や脳・心臓疾患など、労災認定までに時間を要するケースが多い疾病への救済を充実させる内容となっています。請求権の消滅時効が5年へ延長されることで、被災労働者や遺族が十分な準備をしたうえで請求しやすくなることが期待されます。また、遺族補償年金の男女差を見直すなど、制度の公平性を高める改正も含まれています。企業においても、労災発生時の対応や従業員への制度案内について、改正内容を踏まえた見直しを進めることが重要です。
職務専念違反損害 相殺により会社請求を棄却 解雇無効の慰謝料と 東京地裁(7/23)
東京地方裁判所は、在職中に競業会社を設立した元従業員2人に対し、会社が約100万円の損害賠償を求めた訴訟で、会社の請求を棄却した。裁判所は、社用車の私的利用による高速道路代4,160円と、会社が負担したパーツ代2万円の計2万4,160円については職務専念義務違反による損害と認定した。一方、懲戒解雇については、就業規則が定める「度重なる注意・制裁」がなく、横領や営業秘密漏えいなども認められないことから無効と判断。元従業員に対する慰謝料20万円を認め、損害賠償請求権は相殺により消滅するとして会社の請求を退けた。
■感想
本件は、従業員の問題行為が認められた場合でも、懲戒処分は就業規則や手続に沿って適正に行わなければ無効となる可能性があることを示した事例です。特に懲戒解雇は最も重い処分であるため、事実確認や証拠の収集、処分の相当性、就業規則に定める要件を十分に満たしているかを慎重に判断する必要があります。企業としては、感情的な対応ではなく、日頃から注意・指導の記録を残し、適正な懲戒手続を整備・運用することが、労務トラブルの防止につながります。
墜落・転落防止増加へ対応 建設業の無災害を誓う 建災防(7/22)
建設業労働災害防止協会(建災防)は7月1日、東京都渋谷区の明治神宮神楽殿で安全祈願祭を開催し、建設業における労働災害ゼロへの決意を新たにした。今井雅則会長は、建設業は全産業の中でも労働災害の割合が依然として高く、特に墜落・転落災害が大幅に増加している現状を踏まえ、関係者が一丸となって安全対策に取り組む重要性を強調した。2025年の建設業の死亡災害は214人と過去最少を更新した一方、墜落・転落による死亡災害は91人と前年より14人増加し、死亡災害全体の4割以上を占めている。
■感想
建設業全体の死亡災害は減少傾向にあるものの、墜落・転落災害は依然として最大の課題となっています。特に高所作業では、フルハーネス型墜落制止用器具の適切な使用や手すり・足場の点検、作業手順の徹底が不可欠です。労働災害を防ぐためには、設備面の対策だけでなく、日々の安全教育やKY活動(危険予知活動)を継続し、安全意識を職場全体で高めることが重要です。
監督件数が最多に 最賃履行確保へ重点指導 宮城労働局(7/21)
宮城労働局は、2026年1~3月に実施した最低賃金履行確保のための重点監督結果を公表した。監督対象は過去10年で最多となる310事業場で、このうち39事業場(違反率12.6%)に最低賃金法違反が認められ、是正を求めた。最低賃金未満で働いていた労働者は81人で、その60.5%(49人)はパート・アルバイト以外の労働者だった。違反理由では、「適用される最低賃金額を知らなかった」と「月給制労働者を時間額へ換算して確認していなかった」が、それぞれ9事業場(20.5%)を占めた。宮城県の地域別最低賃金は、2025年10月4日に65円引き上げられ、時間額1,038円となっている。
■感想
最低賃金違反は時給制だけでなく、月給制の労働者でも時間額換算を誤ることで発生するケースが少なくありません。今回の結果でも、違反理由の約2割が「最低賃金額を知らなかった」、約2割が「時間額換算をしていなかった」ことによるものでした。最低賃金の引上げが続く中、企業は毎年の改定内容を確認するとともに、月給制や各種手当を含めた賃金計算が最低賃金を下回っていないか、定期的に点検することが重要です。
“着替え”扱いを明示 労働時間の考え方で冊子 厚労省(7/17)
厚生労働省は、労働時間の考え方を整理したパンフレットを公表し、労働時間に該当する事例・該当しない事例を示した。着替えについては、制服や作業着の着用が任意、または自宅からの着用が認められている場合は労働時間に該当しないと明示した。また、自由参加で不参加への不利益がない勉強会は労働時間に当たらない一方、正社員登用の要件となるなど実質的に参加が強制される研修は労働時間に算入するとしている。さらに、電話対応などの業務がなく自由に過ごせる待機時間や、自宅で社用携帯を所持する夜間待機についても、実際に業務を行わない場合は労働時間に該当しないとの考え方を示した。
■感想
労働時間の判断は、形式ではなく「使用者の指揮命令下にあるか」が重要なポイントとなります。今回のパンフレットでは、着替えや研修、待機時間など実務で判断に迷いやすい場面について具体例が示され、企業にとって参考となる内容となっています。特に、自由参加としていても実質的に参加が求められている場合は労働時間となる可能性があるため、運用実態を含めて見直すことが重要です。労務トラブル防止のためにも、自社の運用が厚生労働省の考え方に沿っているか確認しておくことが望まれます。
所得連動給付 29年度導入で大筋合意(7/17)
社会保障国民会議の実務者会議は16日、「所得連動給付」を2029年度から導入することで大筋合意した。働く中低所得者を対象に、所得水準に応じて給付額を変動(定額→逓増→定額→逓減→給付終了)させる。18歳以下の子どもの数に応じた加算措置や、「年収の壁」対応として給付額を加算する時限措置も設ける。高所得の配偶者がいる人は対象外。給付対象となる年収層や給付額、財源等は今後協議する。一方「つなぎ」と位置付ける消費税減税は、議論を継続する。消費税減税を含む中間とりまとめ案を、実務者会議が7月中に策定する見通し。
過労による脳・心臓疾患、ストレスによる精神障害 昨年度1,310件(7/16)
厚生労働省は15日、2025年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。支給決定件数は4年連続で過去最多となり、1,310件だった。内訳は、脳・心臓疾患は前年度より23件少ない224件だったが、精神障害は前年度より28件多い1,086件だった。精神障害の原因別では、上司等からのパワハラが222件で最多、次いでカスハラ、セクハラがいずれも127件だった。
解体工事 15人が一酸化炭素中毒 換気不十分で送検 中央労基署(7/16)
東京・中央労働基準監督署は、ビル解体工事中に派遣労働者15人が一酸化炭素中毒を発症した労働災害を受け、解体工事業の㈱ジョイントと同社職長を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検した。現場では石綿飛散防止のため建物内や足場をシートで覆い、換気が不十分な状態で建物内に発電機を設置していたため、一酸化炭素が滞留し、15人が中毒を発症、うち1人は4日以上の休業となった。災害後は発電機を屋上へ移設する是正措置が講じられている。国土交通省は石綿を含む可能性のある建築物の解体工事が令和10年頃にピークを迎えると推計しており、東京労働局によると令和7年には発電機が原因となる一酸化炭素中毒災害が建設現場で3件発生している。
■感想
石綿除去工事では飛散防止対策が重視されますが、その一方で換気不足による一酸化炭素中毒という新たなリスクにも十分注意しなければなりません。特に都市部では発電機の設置場所が限られるケースも多く、作業環境に応じたリスクアセスメントが重要です。今後、石綿を含む建築物の解体工事は増加が見込まれるため、発電機の設置場所や換気方法、一酸化炭素警報機の活用など、多面的な安全対策の徹底が求められるでしょう。
管理職が保育体験へ 男性育休促進に向けて 福島県内10市(7/15)
福島市など福島県内10市と東京大学は、男性の育児休業取得促進を目的とした実証事業「はぐプロジェクト」を開始した。経営者や管理職が保育施設で約半日、子どもとの遊びや食事の準備、清掃補助などの保育体験を行い、育児と仕事の両立への理解を深める。体験前には約2時間のオンライン研修を実施し、育児中の社員へのマネジメントについて学ぶ。また、参加者には申込時・体験直後・一定期間経過後の計3回アンケートを実施し、価値観の変化や職場環境の改善状況を検証する。事業には福島県内10市が参加し、6月29日時点で155社が参加を表明している。
■感想
男性育休の取得率向上には、制度の整備だけでなく、管理職の理解と職場風土の醸成が欠かせません。今回の取組みは、管理職自身が育児を疑似体験し、その経験をマネジメントに活かすことを目的としている点が特徴です。育児と仕事の両立支援は、従業員の定着や働きやすい職場づくりにもつながる重要なテーマであり、今後はこうした体験型の研修が企業に広がっていくか注目されます。
厚労省調査 勤務医の15%が残業年960時間超(7/14)
厚生労働省は13日、医師の働き方改革の推進等に関する検討会で、2025年に残業時間が960時間を超えた病院・常勤勤務医の割合は15%いたとみられるとの調査結果を報告した。2016年調査の39.2%、2022年調査の21.2%から減少が続くが、依然として長時間労働が多い実態が明らかとなった。同省は、来年度に上限規制の開始から3年が経過することを踏まえ、検討会で業務効率化につながる支援の充実策などの議論を始める。
アマゾンジャパン事件(東京地判令7・11・6) 年俸1500万円で中途採用、態度悪くクビに 普通解雇“回避努力”を評価(7/14)
東京地方裁判所は、年俸1,500万円、サイニングボーナス1年目600万円・2年目430万円の条件で中途採用されたアマゾンジャパンの管理職社員に対する普通解雇を有効と判断した。判決では、上司や同僚からの度重なる指摘や指導を受け入れず、攻撃的な言動を繰り返し、求められる役割や職責を果たせず改善の見込みも乏しいと認定した。また、会社が約590万円の退職金支払いと3か月間の有給特別休暇を条件とした退職勧奨を実施したうえで解雇しており、一定の解雇回避努力が尽くされていた点も評価した。裁判所は、勤務成績不良や協調性の欠如を理由とする解雇には客観的合理性と社会的相当性があると判断している。
■感想
能力不足や勤務成績不良を理由とする普通解雇では、単に成果が出ないというだけでは足りず、会社が改善の機会を与え、指導や配置転換の検討など解雇回避の努力を尽くしたかが重要な判断要素となります。本件では、高額年俸で即戦力として採用された管理職という事情に加え、継続的な指導記録や退職勧奨の実施など、会社側の対応が丁寧に行われていた点が解雇の有効性を支えました。企業としては、日頃から指導内容や面談記録を適切に残し、改善機会を十分に設けることが、将来の労務トラブル防止につながるといえるでしょう。
タイミーが応訴請求棄却求める 集団訴訟・弁論期日(7/14)
スポットワークサービス「タイミー」を利用する労働者9人が、企業都合による直前キャンセル135件により発生した未払い賃金など計312万円の支払いを求めた集団訴訟で、第1回口頭弁論が開かれた。原告は、未払い賃金103万円と慰謝料210万円を請求し、賃金支払いの代行やキャンセルルールを定める㈱タイミーにも責任があると主張している。一方、タイミーは請求の棄却を求める答弁書を提出したことが明らかとなり、今後、スポットワークにおける仲介事業者の責任の範囲などが争点となる見通しである。
■感想
スポットワーク市場の拡大に伴い、企業・仲介事業者・労働者それぞれの責任範囲が注目されています。本件では、企業都合によるキャンセル時に仲介事業者がどこまで責任を負うのかが重要な争点となる見込みです。判決の内容次第では、スポットワークサービス全体の運用ルールや契約内容、キャンセル時の補償の在り方にも影響を与える可能性があり、今後の裁判の動向が注目されます。
目安審議スタート 上野大臣が中賃審に諮問(7/13)
厚生労働省は6月26日、中央最低賃金審議会(藤村博之会長)に今年度の地域別最低賃金の目安について諮問した。上野賢一郎厚労大臣が藤村会長に諮問文を手交している(写真)。同日に目安小委員会が開かれ、審議がスタートした。
昨年度は、7回に及ぶ小委員会での議論を経て、過去最高の加重平均63円の引上げとなる目安を示した。その後の各地方審議会の審議では、国による補助金創設などを受けて、目安を上回る答申が相次いだ。目安を上回った地域は39道府県に達し、そのうち11県は10円以上高い額で答申。最終的に全国で同66円の引上げが行われた。
現行の最賃は同1121円で、地域別では高い方から順に東京1226円、神奈川1225円、大阪1177円などとなっている。最も低いのは高知、宮崎、沖縄で1023円。
今後、小委員会で議論を進める。月内にも目安が示される見通しだ。
■感想
最低賃金改定は、企業の人件費や採用戦略に大きく影響する重要なテーマです。昨年度は全国加重平均66円という過去最大の引上げとなり、多くの地域で国の目安を上回る改定が行われました。今年度も引き続き高い水準での議論が予想されるため、企業は最低賃金だけでなく、既存従業員との賃金バランスや給与体系全体を見据えた準備を進めることが重要となります。
労災保険法、個人情報保護法等の改正法が成立(7/10)
参院は10日午前中の本会議にて、労災保険法、個人情報保護法、デジタル行政推進法の3つの改正案の採決を行い、いずれも賛成多数で可決、成立した。残る政府提出法案はあと13本となるが、与野党が衆院で重要広範議案に指定した法案のうち2つ(防災庁設置法案・刑事訴訟法改正案)が成立しておらず、17日までの会期内成立をめざす。
直接払いに違反せず 人材紹介業の振込代行で 厚労省(7/10)
厚生労働省は、1日単位の人材紹介と労務管理システム、賃金支払い代行サービスを組み合わせた新規事業について、グレーゾーン解消制度に基づき、労働基準法第24条の賃金直接払いの原則には違反しないとの見解を示した。新サービスでは、第三者が労働者へ賃金を立替払いし、求人企業へ紹介手数料と立替賃金を請求する仕組みで、代行手数料は1件当たり200円を想定している。厚生労働省は、賃金が労働者へ支払われるまで使用者の支払義務が消滅しないことや、システム上で労働者・使用者双方が支払状況をリアルタイムで確認できることから、賃金直接払いの原則に抵触しないと判断した。
■感想
近年は給与の即時払いサービスなど、新たな賃金支払方法が広がっています。今回の見解では、「第三者が支払うこと」ではなく、「最終的な支払責任が誰にあるか」が重要であることが改めて示されました。人材紹介やスポットワークの普及に伴い、今後も多様な賃金支払サービスが登場すると考えられますが、企業としては労働基準法第24条の趣旨を踏まえ、最終的な賃金支払義務を適切に管理することが重要になるでしょう。
労保料認定処分 あんしん財団の申立て退ける 業務上疾病に該当 行政不服審査会(7/9)
総務省の行政不服審査会は、一般財団法人あんしん財団が労働保険料額の認定処分の取消しを求めた不服申立てについて、棄却が妥当とする答申をまとめた。同財団の令和5年度の認定保険料額は約3,042万円で、このうち約81万円は精神障害の労災認定に伴うメリット制適用による増額分だった。審査会は、営業目標未達や転勤に関する出来事を総合評価した結果、心理的負荷は「強」に当たり業務上疾病と認められると判断し、労災認定および労働保険料額の認定処分はいずれも適正とした。最高裁判決を受け、事業主は労災認定自体ではなく、保険料額認定処分に対して不服申立てを行うことができることも改めて示された。
■感想
メリット制が適用される事業場では、労災認定が労働保険料に直接影響を及ぼすため、事業主にとって重要な判断となります。今回の事案では、精神障害の業務起因性だけでなく、保険料額認定処分に対する不服申立ての位置付けも改めて整理されました。精神障害の労災認定では、個々の出来事だけでなく複数の出来事を総合的に評価して心理的負荷を判断する点が、実務上の重要なポイントといえます。
2025年度の個人情報漏洩が過去2番目の多さに(7/8)
個人情報委員会が7日に公表したところによると、2025年度における民間での個人情報の漏洩事案は1万7,139件(前年比8%減)となり、社労士向けシステムの大規模な漏洩事案があった2024年度の1万9,056件に次いで多かったことがわかった。このうち22%(3,822件)は、従業員による情報の持出しやサイバー攻撃など不正目的の情報漏洩だった可能性がある事案だった。
人事に生理痛体験会 休暇取得率の向上めざし 福岡県(7/8)
福岡県は、生理休暇の取得促進を目的として、県内企業の人事労務担当者や事業主向けの啓発セミナーを開催する。セミナーでは、女性特有の健康課題に関する講義に加え、専用機器を用いた生理痛の疑似体験やグループワーク、国の助成金の紹介を実施する。開催は9月に7回、11月に8回の計15回で、各回の定員は約50人としている。厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査では、生理休暇を請求した女性労働者の割合は0.9%と1%を下回っており、福岡県は企業の理解促進と職場環境の整備につなげたい考えである。
■感想
生理休暇は法律で定められた制度である一方、実際の取得率は0.9%と非常に低い状況です。制度があっても利用しにくい職場環境では十分に機能しません。今回のように、人事担当者や管理職が健康課題を体験的に学ぶ取組みは、制度への理解を深めるきっかけになると考えられます。今後は、生理休暇に限らず、誰もが安心して相談・利用できる職場環境づくりや、健康と仕事の両立を支援する取組みがますます重要になっていくでしょう。
障害者就職件数は11.5万件に 7年度・厚労省(7/7)
厚生労働省は、ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況を取りまとめた。令和7年度の就職件数は、過去最多の6年度に比べて0.4%少ない11万5178件で、過去2番目に高い水準だった。就労継続支援A型事業所への就職件数が減ったことが、全体の減少につながったとしている。 新規求職申込件数は前年度比3.7%増の27万8136件で、過去最多を更新した。身体障害者や知的障害者が減少する一方、精神障害者が前年度比7.9%増と全体を押し上げた。
犯罪巻込まれ防止へリーフ 技能実習機構(7/7)
外国人技能実習機構は、技能実習生が犯罪に巻き込まれることを防止するため、周知用リーフレットを作成した。近年、犯罪組織がSNSなどを利用して、仕事のあっせんや失踪を持ちかける事例が確認されていることを受けた取組みである。リーフレットでは、犯罪への勧誘例として、自分名義の銀行口座や携帯電話を他人に譲渡する行為などを紹介し、犯罪に加担しないよう注意を呼び掛けている。技能実習生に対する犯罪被害や犯罪利用の防止を目的に、適切な情報提供と注意喚起を進めていくとしている。
■感想
技能実習生を狙った犯罪の手口は年々巧妙化しており、SNSを利用した勧誘も増加しています。受入企業においては、制度や業務の説明だけでなく、日本で生活する上でのルールや犯罪に巻き込まれないための注意点についても継続的に周知することが重要です。技能実習生が安心して働き、生活できる環境づくりのためにも、日頃から相談しやすい体制を整えておくことが求められます。
中小の4割が無料版 AI学習で流出リスク 東商(7/6)
東京商工会議所は、東京23区内の中小企業1,272社を対象に実施した生成AIの活用状況調査の結果を公表した。生成AIを活用している企業は83.9%に上る一方、43.2%が無料版のみを利用していた。また、40.3%の企業は「個人レベルで活用している」と回答し、AI利用に関する社内ルールや管理体制の整備が課題となっている。実際に、生成AIの利用指針やガイドラインを策定している企業は7.7%にとどまった。東京商工会議所は、無料版では入力内容がAIの学習に利用される可能性があり、機密情報の流出リスクがあるとして、有料版の活用や社内ルールの整備を呼びかけている。
■感想
生成AIは多くの中小企業で活用が進む一方、利用ルールの整備が追いついていない実態が明らかになりました。業務効率化のメリットを最大限に活かすためには、ツールを導入するだけでなく、利用目的や入力してよい情報、禁止事項などを明確にした社内ガイドラインの整備が重要です。今後は、情報漏えい対策や社員教育も含めたAIガバナンスの構築が、企業にとってますます重要になると考えられます。
中小向け助成金増額で介護休暇の有給導入を支援(7/3)
厚労省は2026年度から、両立支援等助成金介護離職防止支援コースで「介護休暇制度有給化支援」を新設し、1人10時間以上の取得実績があった中小企業に30万円(10日以上の有給休暇を付与する場合50万円)を支給している。原則無給の介護休暇を有給にしている企業は3割程度であるため、有給導入企業の拡大に向け、中小企業事業主による仕事と介護の両立支援を後押しする。
報告義務新設で通達 個人事業者の業務上災害 厚労省(7/3)
厚生労働省は、2027年1月から開始される個人事業者の業務上災害報告制度について、改正労働安全衛生規則の施行通達を公表した。改正後は、個人事業者が業務上災害により死亡または4日以上休業した場合、同一現場で業務を行う直近上位の注文者(特定注文者)に労働基準監督署への報告義務が課される。通達では、本人から報告を受けた場合に加え、災害を目撃した場合や救助・救急搬送を把握した場合も「災害発生を把握したとき」に該当すると明示した。一方、被災者が報告せず立ち去るなど、特定注文者の責めによらず災害を把握できなかった場合は、報告義務の対象外としている。
■感想
フリーランスや一人親方など個人事業者の増加を踏まえ、安全衛生管理の対象が広がる動きが進んでいます。今回の制度では、災害発生時の報告主体や「把握したとき」の判断基準が具体的に示されたことで、現場での対応がより明確になりました。建設業や運送業など個人事業者との取引が多い企業では、新制度の開始に向けて報告フローや社内ルールをあらかじめ整備しておくことが重要となりそうです。
地域別最賃発効日 後ろ倒しなら理由明示へ 影響議論して決定(7/2)
中央最低賃金審議会は、地域別最低賃金の発効日に関する「考え方」を取りまとめた。2025年度改定では、引上げ額の目安としてA・Bランク63円、Cランク64円(過去最高)が示され、39道府県が目安を上回る答申を行い、このうち11県は10~18円上乗せした。一方、27府県が発効日を11月以降とする「指定日発効」を採用し、地域間で最大6か月の差が生じた。中賃審は、発効日を引上げ額確保のための過度な交渉材料とすべきではないとし、指定日発効を採用する場合は、労働者や企業への影響、地域事情などを十分に議論したうえで判断理由を明らかにするよう求めている。
■感想
今年も最低賃金改定の議論が本格化しています。今回の取りまとめでは、引上げ額だけでなく「発効日」の考え方が整理された点が大きなポイントです。企業にとっては賃金改定や給与システムの変更準備が必要となる一方、労働者にとっては賃金引上げが早期に反映されることも重要です。今後の最低賃金審議では、金額だけでなく発効時期や地域の実情を踏まえた議論にも注目していきたいと思います。
学童保育「育休で退所」の運用ルール 見直しを要請(7/1)
黄川田少子化相は30日、学童保育(放課後児童クラブ)において、主要都市の6割弱が育児休業世帯の児童を退所させる運用をしていた件について、全国の自治体に対し、29日付で家庭や子どもの事情等に配慮して受入れを検討するよう、一律の退所ルール見直しを求めたことを明らかにした。また、自治体とともに受入れ枠の拡大を図っていく考えを示した。
労基法確認表を作成・送付 和歌山労基署(7/1)
和歌山労働基準監督署(雑賀秀元署長)は「労働基準法等チェックリスト」を作成した。割増賃金の算定方法や各種協定の届け出時の注意点など、41項目の確認を求めている。リストは36協定や就業規則の未届けが疑われる事業場へ、働き方改革推進支援センターの紹介リーフレットなどを同封し送付する。送付先は約300事業場に上るとした。
同労基署には、割増賃金の算定時の手当の扱いや始業時間前にタイムカードを打刻した際の労働時間の扱いなどについて、労使双方から多くの相談が寄せられている。リスト作成は各事業場での自主的な法令遵守を促す狙い。
建設業の退職金増額へ 建退共運用利回り引上げ(7/1)
厚生労働省は30日、労働政策審議会の部会で建設業の退職金(建設業退職金共済制度)の予定運用利回りを、現行の1.3%から1.5%に引き上げる中小企業退職金共済法施行令の改正に関する諮問への答申を受け取った。引上げにより、掛金の納付年数が30年の場合は退職金が約10万円、40年の場合は約20万円増額すると想定。近く閣議決定し、10月より施行する。