9月の新着情報について
9月がスタートしましたが、まだまだ暑い日が続いています。暦の上では秋に近づいているものの、日中は厳しい暑さを感じる日も多く、引き続き体調管理には気をつけたいところです。 さて、先日親戚と話をしていたときに、指の呼び方が話題になりました。地域によっては、手の指を「たかたか指」「べに指」などと呼ぶことがあるそうです。私は初めて聞いた言い方だったので、とても驚きました。普段何気なく使っている言葉でも、地域や世代によって呼び方が違うのは面白いものですね。 そんな小さな発見とともに9月もスタートです。 今月も、労働・社会保険に関する制度改正や人事労務、助成金、働き方など、企業経営や日々の労務管理に役立つ情報を分かりやすくお届けしてまいります。 季節の変わり目でもありますので、皆さまどうぞ体調にお気をつけてお過ごしください。
熱中症の重篤化防止措置違反で初の送検か―改正安衛則への対応を再確認(9/30)
鳥取・米子労働基準監督署は、熱中症の重篤化防止措置を怠ったとして、解体工事会社の元請けと現場代理人、下請会社と代表取締役の2社2人を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。
現場では、下請会社の労働者が解体作業中に熱中症で倒れ、死亡する労働災害が発生しています。
熱中症の重篤化防止措置は、昨年6月に施行された改正労働安全衛生規則によって事業者に義務付けられたものです。米子労基署は、同措置を怠ったことによる送検について、全国でも初めてではないか」としています。
■感想
今回の事例は、熱中症対策が単なる「努力」ではなく、事業者が法令に基づいて対応すべき安全衛生管理の問題であることを改めて示すものといえます。
特に注意したいのは、元請会社だけでなく、現場代理人、下請会社、その代表取締役も送検対象となっている点です。
熱中症対策は、水分補給や休憩を呼び掛けるだけでなく、異常が生じた場合に重篤化させないための対応を、現場で実際に機能させることが重要です。建設業など屋外作業の多い企業では、今回の事例を機に、自社の熱中症対策が「決めているだけ」になっていないか、現場での運用まで改めて確認しておきたいところです。
e-Govの36協定・就業規則等の申請様式が変更―旧保存データは再利用不可(9/29)
e-Gov電子申請では、9月28日から、就業規則(変更)届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届、時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)などの申請様式が変更されました。これに伴い、9月27日以前に保存した申請データは、e-Govの仕様上、再利用できなくなっています。36協定届では、労働者の過半数代表者に関する確認欄や、特別条項付き協定届の時間数・割増賃金率などについて、入力時の必須チェックや入力方法の一部が変更されています。
■感想
今回の変更は、労働時間の上限規制など36協定そのもののルールが改正されたものではなく、e-Gov上の申請様式や入力チェック等の変更です。ただし、提出に備えて申請データを事前に作成・保存していた企業では、旧データをそのまま利用できないため注意が必要です。特に、複数事業場の36協定や就業規則を本社でまとめて管理している企業は影響を受ける可能性があります。提出期限の直前になって慌てないよう、保存済みデータの有無を確認し、最新の申請様式で準備を進めておきましょう。
2027年度の派遣労働者「一般賃金」が決定―労使協定方式の派遣会社は早めの確認を(9/28)
厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金について、労使協定方式で待遇を確保する際に使用する2027年度(令和9年度)の「一般賃金」の水準を決定しました。2027年4月から2028年3月まで適用されます。基本給・賞与・手当の基準値は、職業安定業務統計を活用した場合、職業・産業計で時給1,333円と前年度から44円上昇し、賃金構造基本統計調査では1,530円と88円上昇しました。また、能力・経験調整指数は勤続1年117.5、3年130.0、5年136.2などとなっています。通勤手当は時給67円、退職金割合は基本給・賞与等の5%とされました。
■感想
労使協定方式を採用している派遣会社にとって、一般賃金の改定は翌年度の賃金設計に直接影響する重要な情報です。特に今回は基準値だけでなく、能力・経験調整指数も上昇しているため、現在の賃金水準が2027年度の基準を満たすか、早めに確認しておく必要があります。なお、1,333円や1,530円が派遣労働者に一律に適用される最低時給という意味ではなく、実際には職種や地域、能力・経験などを踏まえて比較する賃金額を確認します。2027年4月の適用開始直前に慌てないよう、労使協定や賃金テーブルの見直しを計画的に進めておきましょう。
10月1日から外国人の年金手続きにおけるフリガナ氏名の取扱いが変更(9/25)
日本年金機構は、2026年10月1日から、日本国籍を有しない方について、厚生年金保険の資格取得届などに記載されたフリガナ氏名だけが住民基本台帳上の情報と一致しない場合の取扱いを変更します。入国後初めて厚生年金保険の資格を取得する方は、従来どおり「ローマ字氏名届」を提出し、ローマ字氏名が一致すれば本人と特定します。転職などで厚生年金保険の資格を再取得する方については、在留カードやパスポートのコピーなど、ローマ字氏名を確認できる書類を提出することで本人確認を行う取扱いとなります。
■感想
外国人材の雇用が広がるなか、社会保険の資格取得手続きを正確かつスムーズに行うことは、企業の人事・労務担当者にとって重要です。特に外国人従業員を採用する際は、氏名の表記方法によって本人確認に時間を要することがあります。10月1日以降の採用・資格取得に備え、在留カード等の確認だけでなく、フリガナ氏名とローマ字氏名の取扱いについても担当者間で共有しておくとよいでしょう。
育成就労制度の施行日前申請がスタート―開始予定日の7~5カ月前に申請を(9/24)
外国人技能実習機構は、2027年4月1日から施行される「育成就労制度」について、育成就労計画の施行日前申請の受付を開始しました。受入れ企業は、外国人ごとに育成就労計画を作成し、原則として育成就労を開始する予定日の7~5カ月前までの間に申請する必要があります。
制度には、海外の支店・子会社などから受け入れる「単独型」と、監理支援機関が関与する「監理型」があり、提出書類は単独型77個、監理型92個と多岐にわたります。また、申請手数料は1人当たり6,100円で、申請前に払込みを済ませる必要があります。
技能実習制度に代わる新たな制度のスタートに向け、外国人材の受入れを予定している企業では、対象分野や受入れ要件を確認するとともに、申請時期から逆算して早めに準備を進めることが重要です。
2026年10月から労働・社会保険制度が大きく変更―カスハラ対策や「106万円の壁」見直しへ(9/18)
2026年10月から、企業の労務管理に関係する複数の制度変更が実施されます。カスタマーハラスメント対策と就活セクハラ対策が事業主に義務付けられるほか、パワハラ防止指針では、商品の買取りを強要する、いわゆる「自爆営業」に関する言動も対象に加わります。また、同一労働同一賃金ガイドラインには賞与・退職手当、家族手当、住宅手当などに関する考え方が追加されます。社会保険では、短時間労働者の適用要件のうち月額8.8万円以上という賃金要件、いわゆる「106万円の壁」が撤廃されます。
■感想
今回の制度変更は、ハラスメント対策から雇用契約、賃金・手当、社会保険まで幅広く、企業にとって実務への影響が大きい内容です。特にカスハラ・就活セクハラ対策では、方針を定めるだけでなく、相談体制や発生時の対応方法まで準備しておくことが重要です。また、「106万円の壁」については、賃金要件がなくなるからといって、すべてのパート・アルバイトが社会保険の加入対象になるわけではありません。10月を迎える前に、自社に関係する改正を整理し、就業規則や社内規程、労働条件通知書、社会保険の加入対象者などを確認しておきたいところです。
熱中症対策、手順を作るだけでは不十分―下請への周知を怠った元請も書類送検(9/17)
鳥取・米子労働基準監督署は、2025年6月から事業者に義務付けられた熱中症の重篤化防止措置を講じなかったとして、家屋解体工事の元請会社と現場代理人、下請会社と代表取締役を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。今年8月、最高気温36.6℃となった日に下請労働者が作業中に熱中症を発症し、死亡する災害が発生していました。元請は熱中症発生時の対応手順を定めていたものの、下請労働者を含む作業員への周知が不十分だったとされ、下請は必要な手順の作成・周知のいずれも行っていなかったとされています。
■感想
今回の事例で特に注意したいのは、熱中症対策について「手順を作成しただけでは義務を果たしたことにならない」という点です。熱中症を生ずるおそれのある作業では、症状悪化を防止するための措置内容と実施手順を定めるだけでなく、実際に作業に従事する人へ周知する必要があります。元請企業では、自社の労働者だけでなく下請労働者などを含め、現場で誰にどのように周知するのかまで確認することが重要です。マニュアルの整備だけで終わらせず、朝礼や安全教育、掲示などを通じて、緊急時に実際に行動できる状態になっているか点検しておきましょう。
個別労働紛争の「助言・指導」が約5割増―AI活用も増加の一因か(9/16)
東京労働局が公表した令和7年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、労働局長による「助言・指導」の申出件数は835件となり、前年度から約5割増加しました。また、「あっせん」の申出も1,431件で約5割増となっています。東京労働局は、制度の認知度向上に加え、AIによる申出書の作成や、AIへの相談をきっかけに制度を知るケースが増加の一因となっている可能性を指摘しています。
■感想
AIの普及によって、労働者が職場のトラブルについて情報を調べたり、申出書などを作成したりするハードルは低くなっていると考えられます。ただし、今回の増加がAIによるものと確認されたわけではありません。企業側では、日頃から労働条件や就業規則を整備するとともに、面談、注意・指導、ハラスメント相談などの経緯を適切に記録し、**「第三者に説明できる労務管理」**を意識することが重要です。
新卒内定取消し 29事業所で80人 厚労省(9/15)
厚生労働省は、令和8年3月に大学などを卒業した人の内定取消し等の状況を公表した。新卒者の内定を取り消した企業は29事業所、対象者は80人となり、前年と比べて8事業所、46人増加した。業種別の事業所数では「宿泊、飲食サービス業」「建設業」「医療、福祉」がそれぞれ4事業所で最多となった。対象人数では「宿泊、飲食サービス業」が27人で最も多く、「情報通信業」10人、「その他サービス業」9人と続いた。取消し理由では、経営悪化が9事業所、企業倒産と別会社への移行が各1事業所となっている。
■感想
採用内定は、企業が自由に取り消せるものではありません。採用内定によって労働契約が成立していると判断される場合には、内定取消しの適法性について厳格な判断が求められます。特に経営悪化を理由とする場合でも、それだけで当然に取消しが認められるわけではありません。人手不足のなかで採用競争が続く一方、経営環境が急変する可能性もあります。企業には、採用人数を決定する段階から事業計画や人員計画を慎重に検討し、やむを得ず内定取消しを検討する場合には、早い段階で専門家やハローワークなどに相談することが重要です。
最賃56円引上げに 平均時給は1177円 地賃審答申(9/14)
厚生労働省は、令和8年度の地域別最低賃金について、すべての都道府県で改定額の答申が出そろったと発表した。改定後の全国加重平均額は時給1,177円で、前年度から56円、率にして5.0%の引上げとなる。引上げ額は54~65円で、33府県が中央最低賃金審議会の示した目安額を上回った。改定後の最高額は東京の1,280円、最低額は宮崎の1,085円となり、地域間格差も縮小する。新しい最低賃金の発効予定日は都道府県によって異なり、10月1日~12月2日となっている。
■感想
最低賃金の大幅な引上げが続くなか、企業では対象となる従業員の時給を確認するだけでなく、賃金体系全体を見直すことが重要です。最低賃金付近の従業員を引き上げることで、経験年数や職務内容の異なる従業員との賃金差が縮まり、賃金バランスに影響することも考えられます。また、発効日は都道府県ごとに異なるため、事業場が所在する地域の改定額と発効日を確認し、給与計算や雇用契約、求人時の賃金設定などを早めに点検しておくことが大切です。
4割が労働時間関係違反 改善基準告示超過も半数に 厚労省・運送業の監督指導状況(9/11)
厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対して実施した令和7年の監督指導、送検等の状況を公表した。監督指導を行った4,123事業場のうち、3,346事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が確認された。違反内容では、違法な時間外労働など「労働時間」に関するものが1,620件(39.3%)となり、業種別ではトラック40.0%、ハイヤー・タクシー44.6%、バス26.7%だった。また、自動車運転者の拘束時間や休息期間などを定める改善基準告示に違反していた事業場は2,188件(53.1%)に上っている。
■感想
自動車運転者については、時間外労働の上限規制だけでなく、改善基準告示に基づく拘束時間や休息期間などの適切な管理も重要です。今回の結果では、監督指導を受けた事業場の半数以上で改善基準告示違反が確認されており、改めて労働時間管理の難しさが浮き彫りになっています。一方で、運送業では人手不足が続き、賃上げや待遇改善も重要な課題です。企業には、運行計画や荷待ち時間、業務量なども含めて実態を把握し、法令を守りながらドライバーが無理なく働き続けられる職場環境を整えることが求められます。
残業の“一律指導”見直し 健康確保措置を重点確認 未実施なら指導票 東京労働局(9/10)
東京労働局は、2026年9月から、特別条項付き36協定を締結している事業場に対する時間外・休日労働の監督指導について、従来の「一律に月45時間以内への削減を求める」運用を見直した。今後は、時間数だけに着目するのではなく、特別条項付き36協定で定めた「健康福祉確保措置」が実際に実施されているかを重点的に確認する。協定で定めた措置を実施していない場合には、指導票を交付して改善を求めるとしている。なお、今回の見直しは残業規制の緩和ではなく、時間外労働の上限規制や36協定に関するルール自体が変更されたものではない。
■感想
今回の見直しで特に注意したいのは、「月45時間を超える残業が認められやすくなった」ということではない点です。企業では、特別条項付き36協定を提出して終わりにせず、限度時間を超えて働かせる場合に、協定で定めた健康福祉確保措置を実際に実施できる体制になっているか確認する必要があります。特に、念のため特別条項を設けている企業では、長期間発動していない間に実施体制が変わっている可能性もあります。36協定の記載内容と実際の運用が一致しているか、改めて点検しておくことが重要です。
指示聞こえたか確認 社福の高齢者災防で 船橋労基署・説明会(9/9)
千葉・船橋労働基準監督署は、社会福祉施設の人事担当者などを対象に、高年齢労働者の労働災害防止に関する説明会を開催した。講話では、周囲に他の音がある状況で会話内容を理解する能力について、60歳代では20歳代の6割以下まで低下するとの指摘があった。社会福祉施設では多くの高年齢労働者が働いていることから、騒音などがある場所で作業指示を行う際には、一方的に伝えるだけでなく、指示内容が本人に正しく伝わっているか確認することが重要としている。
■感想
高年齢労働者の労災防止というと、転倒防止や体力面への配慮に目が向きがちですが、作業指示を「正確に伝える」ことも重要な安全対策です。特に周囲に音がある職場では、「指示したから伝わっている」と考えず、内容を理解できたか確認する工夫が求められます。
また、本日は広い範囲で線状降水帯の発生が予測されるなど、大雨による災害への警戒も必要です。近年は豪雨などの自然災害が相次いでおり、緊急時には通常以上に周囲の音や混乱によって指示が伝わりにくくなることも考えられます。避難や作業中止などの重要な指示については、口頭で伝えるだけでなく、「伝わったか」「理解できたか」まで確認することが大切です。
高年齢者を含め、すべての従業員が安全に行動できるよう、平時から緊急時の連絡方法や避難手順、指示系統を確認しておくことも、企業の安全管理として重要です。
成形板の破壊避けて解体を 石綿ばく露防止で説明会 埼玉労働局(9/8)
埼玉労働局は、建築物・工作物の解体作業における石綿ばく露防止対策について説明会を開催した。説明会では、石綿含有成形板について「石綿が飛散しない」と誤解している関係者が少なくないとして、破壊によって石綿粉じんが飛散するおそれがあることを注意喚起した。解体時には、釘打ちやねじ止め、接着剤などの取り付け状況に応じて適切な方法を選び、湿潤化や養生などの対策を徹底することが重要としている。また、2006年以前に建てられた建築物などには石綿含有製品が使用されている可能性があるため、資格者による事前調査をはじめとした適切な対応を求めている。
■感想
石綿対策では、吹付け材などだけでなく、石綿含有成形板についても解体・改修時の取扱いに注意が必要です。「成形板だから飛散しない」と判断せず、事前調査の結果を踏まえて、できる限り破壊を避け、必要な飛散防止措置を講じることが重要です。石綿による健康影響は長期間を経て現れることもあるため、企業には作業者の安全確保だけでなく、周辺への飛散防止も含めた適切な管理が求められます。特に古い建築物の解体・改修を行う際は、工事開始前から石綿の有無と必要な対策を確認しておくことが大切です。
男性育休に代替要員 短期異動する職員募集 宮崎県(9/7)
宮崎県は、男性職員が1~2カ月程度の育児休業を取得した際の欠員に対応するため、短期間の異動を繰り返す「パパ育休アシスト職員」の募集を開始した。任期は3年間で、育休取得者が出た部署へその都度配属し、文書作成など短期間でも対応しやすい業務を担当する。男性職員の育休取得が進む一方、周囲の職員の業務負担が増えていることから、安心して育休を取得できる環境を整えることが狙い。育休取得者がいない時期には、病気休業者がいる部署などへの配属も想定している。採用予定日は2027年4月1日で、2人の採用を予定している。
■感想
男性の育児休業取得が広がるなか、企業にとって重要になるのが「休業中の仕事を誰が担うのか」という問題です。育休取得を促進しても、その業務が周囲の従業員に集中すれば、職場の負担増や不公平感につながる可能性があります。今回の取組みは、育休取得者本人だけでなく、業務を支える周囲の職員にも目を向けている点が特徴です。民間企業でも、専任の代替要員を確保することが難しい場合には、業務の棚卸しや属人化の解消、応援体制の整備などを進め、「育休を取得しても職場が無理なく回る仕組み」をつくることが重要です。
3割が“保険外業務” 救急車への同乗対応など NCCU・調査(9/4)
日本介護クラフトユニオン(NCCU)が実施した2026年度就業意識実態調査によると、月給制組合員3,609人のうち31.2%が、介護保険制度の範囲外の業務に対応していた。具体的には、家事代行的支援のほか、生活保護の手続き代行や徘徊時の捜索、通院・救急・入退院対応などが挙げられている。利用者や家族から強く頼まれたり、緊急事態で対応せざるを得なかったケースもみられた。NCCUは、介護報酬が発生しない業務について職員が事業所へ報告せず、実質的なサービス残業になっているケースがあると指摘している。
■感想
介護現場では、利用者の安全や生活を守るため、職員が本来のサービス範囲を超えて対応せざるを得ない場面も考えられます。しかし、職員の善意や責任感に頼った対応が常態化すると、業務範囲が曖昧になり、労働時間の把握漏れやサービス残業につながるおそれがあります。事業所としては、保険外の依頼を受けた場合の対応方法や報告ルールを明確にするとともに、実際に対応した時間を適切に把握できる仕組みを整えることが重要です。職員個人に判断や負担を抱え込ませない体制づくりが、人材の定着という面からも求められます。
最低賃金 過去2番目の引上げ額に(9/4)
全都道府県の2026年度最低賃金(時給)の改定額が、3日に出揃った。全国加重平均は前年より56円上がり、1,177円となった。10月1日から12月2日までの発効日より適用が始まる。改定後の最低賃金が最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円で、差額195円は前年と比べて8円縮まった。
厚労省9年度概算要求 業務改善助成金に543億円 支給上限額を引上げ(9/3)
厚生労働省は、令和9年度予算の概算要求を公表し、「賃上げ」支援助成金パッケージ等に2,016億円を要求した。このうち、業務改善助成金には令和8年度当初予算の21億円から大幅増となる543億円を計上している。令和9年度は、事業場内最低賃金を90円以上引き上げるコースの助成上限額を引き上げるほか、申請期間の拡充も検討する。また、働き方改革推進支援助成金には101億円、人材開発支援助成金には602億円を要求し、賃上げに取り組む企業への支援を拡充する方針。なお、現時点では概算要求段階であり、今後の予算編成等により内容が変更される可能性がある。
■感想
最低賃金の引上げが続くなか、中小企業にとって賃上げ原資の確保は大きな課題です。今回、業務改善助成金について大幅な予算増額が要求され、助成上限額の引上げや申請期間の拡充も検討されていることから、国が設備投資による生産性向上と賃上げを一体的に支援しようとしていることがうかがえます。ただし、今回はあくまで令和9年度の概算要求であり、制度内容が確定したわけではありません。設備投資や賃上げを予定している企業は、今後公表される正式な予算や助成要件を確認しながら、早めに活用を検討しておくとよいでしょう。
精神障害が1.5倍 過労死等労災補償の請求(9/2)
東京労働局は、令和7年度の過労死等の労災補償状況を公表した。精神障害に関する労災請求は前年度比46.9%増の1,121件となり、全国4,958件の5分の1以上を占めた。一方、支給決定件数は150件で、認定率は17.1%と全国の28.2%を下回った。請求ではパワーハラスメントを主張するケースが多いものの、調査の結果、業務指導の範囲内の叱責など「上司とのトラブル」と判断され、支給決定に至らない事案も多いという。「上司とのトラブル」に分類された決定263件のうち、支給決定は1件だった。
■感想
精神障害の労災請求が大幅に増加していることは、企業にとって見過ごせない動きです。一方で、今回の結果から「上司の叱責はパワハラにならない」と考えるのは適切ではありません。業務上必要な指導であっても、その目的や方法、言葉遣い、頻度、周囲の状況などによっては問題となる可能性があります。管理職が萎縮して必要な指導まで避けるのではなく、「適切な業務指導」と「パワハラ」の違いを理解することが重要です。企業としても、管理職研修や相談窓口の整備、トラブル発生時の記録などを通じて、適切に指導できる職場環境を整えておく必要があります。
短パン可と規程明記 温度調節の柔軟性向上 ジャパネット(9/1)
通信販売大手のジャパネットホールディングスは、身だしなみ規程を改定し、グループ全16社の従業員(非正規を含む)について、ハーフパンツ(短パン)の着用を認めるルールを明記した。同社では従来から短パンを必ずしも禁止していなかったが、規程に明記することで、従業員がより気軽に着用できる職場風土の醸成を図る。着用した従業員からは、エアコンの設定温度を下げたいと感じることが減ったとの声もあり、オフィスや物流倉庫内における体感温度の個人差へ柔軟に対応する効果が期待されている。なお、服装についてはTPOと安全性の確保を前提に、多様性と機能性を尊重する方針としている。
■感想
今回の取組みで注目したいのは、単に「短パンを解禁した」という点だけでなく、これまで禁止していなかった服装を、あえて規程に明記した点です。「禁止されていない」ことと「会社が認めていることが明確になっている」ことでは、従業員の安心感や行動のしやすさにも違いが生じます。近年の厳しい暑さを考えると、身だしなみ規程についても従来の慣習だけで判断せず、快適性や多様性を取り入れた見直しが考えられます。一方、物流・製造などの現場では安全性への配慮が欠かせません。服装の自由度を高める場合も、業務内容や職場環境に応じて「認める範囲」と「安全上必要な制限」を明確にしておくことが重要です。