【2026年8月施行】産業医の辞任・解任時の報告義務化
2026/07/16
企業が今から確認すべきポイント
令和8年8月1日から、労働安全衛生規則の改正により、産業医が辞任・解任・死亡などにより退任した場合の手続きが変更されます。これまでも産業医を選任した際には労働基準監督署への届出が必要でしたが、今回の改正では退任理由などについても報告が必要となります。
改正の背景
近年、産業医が会社との意見の相違などを理由に辞任するケースや、企業側が十分な理由なく解任するケースが問題となっていました。 産業医は労働者の健康を守る重要な役割を担っています。 そのため、産業医が安心して職務を遂行できる環境を整えることを目的として制度が見直されました。
改正のポイント
令和8年8月1日以降は、 産業医が辞任した場合、 解任された場合 、死亡等により退任した場合 、については新たな産業医を選任する際の届出に加え、 退任理由についても報告することになります。 行政は、この情報を把握することで、不適切な産業医の解任などが行われていないか確認できるようになります。
企業が確認しておきたいこと
今回の改正で特に重要なのは、 「辞任した」という事実だけではなく、その経緯を説明できることです。 例えば 契約満了による退任 、本人の健康上の理由、 転居・転勤 、双方合意による契約終了 など、経緯を整理しておくことが重要になります。 一方で、 産業医が改善意見を述べた直後の解任 、安全衛生活動を理由とした契約解除 などは慎重な対応が求められます。
実務上のポイント
50人以上の事業場では、 産業医契約書 、委嘱状、 契約更新時期 、退任理由 などを適切に管理しておくことが重要です。
産業医との連携体制も見直しましょう
今回の法改正は、単に届出様式が変わるというだけではありません。
企業に求められるのは、産業医が適切に職務を遂行できる環境を整備し、産業医との信頼関係を維持することです。
そのためには、次のような点について定期的に確認しておくことをおすすめします。
①産業医との打ち合わせを定期的に実施しているか
②衛生委員会で産業医の意見が適切に反映されているか
③長時間労働者や高ストレス者への面接指導が適切に行われているか
④健康診断後の事後措置が適切に実施されているか
➄産業医からの勧告や意見を記録・保存しているか
日頃からコミュニケーションを図ることで、退任時のトラブル防止にもつながります。
社労士からのワンポイントアドバイス
今回の改正は、「届出が増えた」ということだけで終わらせるべきではありません。 行政は、産業医制度が適切に運用されているかを、これまで以上に重視する姿勢を示しています。 特に、従業員50人以上の事業場では、産業医の選任は法令上の義務です。選任後も産業医が十分に活動できる環境を整え、企業と産業医が協力して職場の健康管理を進めていくことが重要になります。 今後は、退任時の届出だけでなく、日頃からの産業医との連携状況も確認される可能性があります。衛生委員会の運営や健康管理体制を含め、一度自社の体制を見直してみてはいかがでしょうか。
おわりに
令和8年8月1日から施行される今回の改正は、産業医制度の透明性を高め、労働者の健康確保をさらに充実させるための重要な見直しです。 「産業医を選任しているから大丈夫」ではなく、 「産業医が十分に役割を果たせる環境になっているか」 という視点で、今一度自社の健康管理体制を確認することが大切です。
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