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製造業におけるBPO活用の実態

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製造業におけるBPO活用の実態

製造業におけるBPO活用の実態

2026/09/15

製造業では、人手不足への対応や生産性向上、専門人材の確保などを目的として、BPO(Business Process Outsourcing)を活用する企業があります。

BPOとは、企業が自社で行っている業務の一部について、業務プロセスごと外部の専門事業者へ委託する仕組みです。単に人手を補うだけではなく、外部事業者が持つ専門性やノウハウを活用し、自社の従業員をより重要な業務へ配置できることなどがメリットとして挙げられます。

一方、製造業における外部人材の活用を考える際には、コストや生産性だけでなく、そこで働く人材の育成や定着、キャリア形成という視点も重要になっています。

目次

    製造業で活用されるBPOとは

    製造業では、企業活動を支えるさまざまな業務について外部委託が活用されています。

    たとえば、製造工程の一部だけでなく、物流、検品、在庫管理などの周辺業務や、人事・給与計算、経理、IT関連業務など、外部の専門事業者へ委託できる業務は多岐にわたります。

    企業にとってBPOを活用するメリットの一つは、すべての業務を自社の従業員だけで行うのではなく、外部事業者の専門性を活用しながら、自社の経営資源を本来注力すべき業務へ集中させやすくなることです。

    特に人材確保が難しい状況では、「不足する人数をどう補うか」という発想だけではなく、「どの業務を自社で行い、どの業務を外部へ委託するのか」という業務そのものの見直しも重要になります。

    製造スタッフの勤務継続には「成長実感」も重要

    日本BPO協会が開催した「BPO業界の動向に関する調査研究会」の報告会では、製造派遣・請負スタッフの勤務継続意志に関する調査結果が示されました。

    調査では、「4年以上勤務したい」と回答する傾向を高める要因を分析したところ、「内部昇進経路」「仕事を通じて成長を実感できる(成長実感)」など4つの要素が揃うことが重要とされています。

    また、別の調査では、仕事を通じて成長を実感している割合について、派遣スタッフより請負スタッフの方が13.4ポイント高いという結果も示されました。

    能力開発についても、請負スタッフの方が「行われている」と回答する割合が高かったとされ、人材育成への投資が人材の定着につながっている可能性が示唆されています。

    ここで重要なのは、単純に「請負の方が派遣より優れている」と考えることではありません。

    今回の調査から注目したいのは、雇用形態や契約形態にかかわらず、働く人が将来のキャリアをイメージでき、日々の仕事を通じて自分自身の成長を感じられる環境を整えることが、人材定着を考えるうえで重要であるという点です。

    「給与」だけではない人材定着のポイント

    人材不足が続くなか、企業では賃上げや年間休日の増加、福利厚生の充実など、待遇改善に取り組む動きがみられます。もちろん、賃金や休日は職場を選ぶ際の重要な条件です。

    しかし、長く働いてもらうためには待遇面だけでなく、この仕事を続けることで何が身につくのか、将来どのような仕事を担当できるのか、スキルアップする機会があるのか、評価されればどのような役割に進めるのかといった「成長」と「将来のキャリア」が見える仕組みも重要になります。

     

    特に製造現場では、日々同じ作業を繰り返しているように感じると、自分自身の成長を実感しにくくなる場合があります。

     

    そこで、作業を習熟度ごとに整理したスキルマップを作成したり、社内資格制度を設けたり、教育訓練の機会を提供したりすることで、本人が「以前よりできる仕事が増えた」と実感できる仕組みをつくることも有効です。

    BPOを「人材育成」の視点から考える

    BPOを導入する際には、どうしても「コストをどれだけ削減できるか」「人手不足をどれだけ補えるか」といった点に注目しがちです。しかし、外部人材を長期的に活用するのであれば、そこで働く人材の育成についても考える必要があります。たとえば、業務に必要な技能を明確にし、習熟度に応じた教育を実施することや、一定の技能を身につけた人がリーダーなどの役割へ進める仕組みを整えることが考えられます。

     

    働く側から見ても、「単に決められた仕事をする職場」と「仕事を通じて技能を身につけ、次の役割を目指せる職場」では、将来に対する見え方が大きく異なります。

     

    BPOの効果を考える際には、短期的なコストだけではなく、人材が育ち、定着し、安定して業務を遂行できる環境を構築できているかという中長期的な視点も必要でしょう。

    BPO・請負を活用するときは「指揮命令」に注意

    製造業でBPOや請負を活用する際には、人材育成とともに労務管理上注意したいポイントがあります。

    それが、請負と労働者派遣の違いです。労働者派遣では、派遣先企業が派遣労働者に対して業務上の指揮命令を行います。

     

    一方、請負の場合には、請負事業者が自ら雇用する労働者に対して業務上の指示を行い、請け負った業務を完成させることが基本となります。そのため、契約上は「請負」となっていても、実際の製造現場で発注企業の担当者が請負事業者の労働者に対して直接、具体的な作業方法や配置などを指示している場合には、契約名称と実態が一致しているか確認が必要です。

     

    BPOや請負を導入するときには、契約書を整えるだけではなく、実際の現場で、

    「誰が作業指示を出しているのか」

    「誰が労働者の配置を決めているのか」

    「業務上の指揮命令系統はどうなっているのか」といった点まで確認することが重要です。

    BPOを成功させるには「働く人」の視点も

    BPOは、企業の業務効率化や専門性の活用、人手不足への対応などに役立つ選択肢の一つです。しかし、外部委託しただけで自動的に生産性が上がり、人材が定着するわけではありません。今回の日本BPO協会の調査からは、製造派遣・請負スタッフの勤務継続を考えるうえで、仕事を通じた「成長実感」や内部昇進経路などが重要な要素となっていることが分かります。

     

    これからの製造業では、外部人材についても単なる「労働力」として考えるのではなく、能力開発やキャリア形成まで含めて、働き続けたいと思える環境をつくる視点が重要になってくるでしょう。また、請負やBPOを活用する場合には、契約形態と実際の指揮命令関係が一致しているかを確認し、適正な運用を行うことも欠かせません。

     

    「どの業務を外部に任せるか」だけでなく、「そこで働く人がどのように成長し、長く活躍できるか」まで考えることが、これからのBPO活用に求められる視点といえます。

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