「交渉の記録」は低調 労務費指針が示す行動で 全建(12/20)
価格交渉の記録作成・保管が低調――全国建設業協会(今井雅則会長)は、労務費などの転嫁の状況に関する会員調査の結果をまとめた。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」で掲げられている受注者もしくは受発注者が採るべき行動のなかで、遵守できた項目を複数回答で聞くと、回答した695社のうち「価格交渉の記録を作成し、自社と発注元の双方で保管」を挙げたのは90社に留まった。全6項目のなかで最も少なくなっている。
一方、最も多かったのは「発注元との定期的なコミュニケーション」で、436社に上った。以下、「価格交渉で最低賃金の上昇率や春季交渉の妥結額などの公表資料を用いる」が221社、「自ら希望する額を提示」が212社と続くが、いずれも「定期的なコミュニケーション」の実施企業数とは大きな開きがある。
直近1年間で取引金額が最も大きい発注元との協議の実施状況をみると、「発注元から申出があり協議を行った」とする企業は全体の2割程度に留まっている。「自社から申し出を行い協議に応じてもらえた」が4割で、「協議の必要がなかった」も2割あった。
調査は、今年10~11月に実施した。
パトの是正結果を安全研修に生かす 労研交流会で成果発表(12/17)
建設労務安全研究会(細谷浩昭理事長)は11月8日、浜離宮建設プラザ(東京都中央区)で第43回全国労研交流会議を開いた。同会議は、各地域の労研の活動成果を発表するもので、細谷理事長は「発表を持ち帰って、自社の活動に生かしていただければ」と挨拶した。
大阪労研では、「ご安全に運動研修会」のために作成したテキストを紹介。パトロールで発見した指摘事項を写真で示し、注意に至った背景や是正結果を掲載し、研修で成果をあげているという。ICTの導入現場を紹介したのは四国労研。大型重機との接触防止システムやLEDによる注意喚起表示の投影などの活用事例を発表した。
不安全除く指導強化 経験3年未満で死亡多発 兵庫労働局(12/16)
兵庫労働局(赤松俊彦局長)は、入職してから3年未満の労働者が死亡する災害が相次いだことから、労働災害が多発する年末年始にかけ、防護カバーや安全通路などを確認し、機械や作業空間の不安全状態をなくすよう指導を強化する。実際に発生した災害では、再雇用を経て従来とは別の作業に従事するようになった労働者や、セカンドキャリアとして入職した労働者が被災するケースが相次いでいる。
今年10月末までに発生した死亡災害は27件で、前年同期比8件増加した。同労働局安全課によると、7月までに発生した19件のうち、経験期間3年未満の被災が4割を占めている。「労働者自身の不安全行動を防ぐような教育はもちろんだが、担当者が変わっても、被災しないような取組みを強く呼び掛けていく」(安全課担当者)と話している。
能登地震復旧現場で重機接触防止を確認 穴水労基署(12/16)
石川・穴水労働基準監督署は11月6日、河原田川緊急復旧工事現場(施工:鹿島建設北陸支店)で安全パトロールを実施した。
現場は、今年1月の能登半島地震と9月の能登半島豪雨で受けた被害の復興工事で、重機による掘削作業が続くなかで接触防止などの対策を巡視した。
管内では今年、建設業の労働災害が前年同期の8件から28件へと急増。工事量増加の影響があるとみている。
同労基署の光谷正樹署長は、自然災害に備えた避難体制が整備されていることを確認したうえで、「これから天気が荒れる季節に入るので、作業の中止判断も含めて安全な工事を進めてほしい」と労災害防止徹底を呼び掛けた。
週休2日可能な工期を 建設工事発注者となる場合 厚労省・上限規制で要請(12/11)
厚生労働省は、経営者団体に向けた要請で、建設工事の発注者となる場合に週休2日を確保することに配慮した適正な工期設定を求めた。荷主となる場合には、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないよう、荷物の積み下ろしに関する予約受付システムなどの取組みを促した。時間外労働の上限規制の適用を踏まえたもので、長時間労働の背景にある取引慣行上の課題について改めて指摘している。
建設業の死亡災害が続発 工事輻輳見据え対策徹底を要請 群馬労働局(12/9)
群馬労働局(上野康博局長)は、管内の建設業で死亡災害が連続して発生したことを受けて、労働災害防止対策の徹底を関係団体宛に要請した。10月下旬から11月にかけて立て続けに3件の死亡災害が発生し、急増した前年に続いて今年も多発傾向にあるという。物置の解体中に屋根が落下して下敷きになったという死亡災害のほか、ドラグ・ショベルとともに沢に墜落、足場のメッシュシートを突き抜けて地面に落下、配線作業を行っていたところ感電する、車両系建設機械の運転席と建築物との間に身体を挟まれるなどとなっている。「墜落・転落災害」「建設機械・クレーン等災害」「倒壊・崩壊災害」の建設業三大災害が目立っており、年末年始で工事の輻輳化や冬季特有の条件によって労働災害のリスクがさらに高まる懸念があると注意を呼び掛けている。
「塩分」を作業場に備えず 建設業の個人事業主を送検 名護労基署(11/16)
沖縄・名護労働基準監督署は、労働者に発汗を伴う作業を行わせる際の安全対策を怠ったとして、「天久組(あめくぐみ)」の名称で建設業を営む個人事業主(沖縄県国頭郡)を労働安全衛生法第22条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで那覇地検名護支部に書類送検した。
労働安全衛生規則では、「事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるための塩および塩分を備えなければならない」と規定している。同社はこのうち塩分(塩飴、塩タブレット、塩分を含むスポーツドリンクなど)について、現場内に備えていなかった疑い。同社の入場していた工事現場では令和6年7月に、労働者が熱中症で死亡する労働災害が発生している。
【令和6年10月3日送検】