同一労働同一賃金は「対応済み」で終わらない
2026/06/18
令和8年10月ガイドライン改正が企業に問いかけるもの
「同一労働同一賃金への対応は終わった」
そう考えている企業も少なくないかもしれません。しかし、令和8年10月に施行されるガイドライン改正は、その認識を見直す必要があることを示しています。
今回の改正は、単に法律が変わるという話ではありません。企業がこれまで運用してきた賃金制度や手当制度、福利厚生制度の合理性を改めて検証する機会となります。
特に注目されているのが、退職金や賞与、住宅手当、家族手当などの待遇差に関する考え方です。ガイドラインでは、「正社員だから支給する」「パートだから支給しない」という形式的な区分ではなく、その手当の目的や役割に照らして合理的な説明ができるかが重要とされています。
例えば住宅手当であれば、「転勤を伴う勤務への対応」という目的なのか、「生活費補助」という目的なのかによって判断が変わります。賞与についても、会社への貢献度や成果への評価として支給するのであれば、雇用形態だけを理由とした差異は説明が難しくなります。
また今回の改正では、正社員への転換推進や待遇差の説明責任についても整理されています。企業には、待遇の違いを設ける場合に、その理由を明確に説明できる状態が求められます。
実際に近年の裁判例を見ても、「制度として存在していること」よりも、「なぜ差を設けているのかを合理的に説明できるか」が重要視されています。
人手不足が続く現在、優秀な人材の確保や定着は企業経営の最重要課題の一つです。その中で、待遇への納得感は従業員のモチベーションやエンゲージメントに大きく影響します。
同一労働同一賃金は、単なる法令対応ではありません。
「この会社は公平に評価してくれる」
「雇用形態に関係なく活躍できる」
そんな職場づくりにつながる経営課題でもあります。
令和8年10月の改正を機に、自社の賃金制度や各種手当の目的を改めて確認し、「なぜこの制度があるのか」を説明できる状態にしておくことが重要ではないでしょうか。
最後に
これからの時代は、制度そのものよりも「説明できる制度」であることが求められます。同一労働同一賃金への対応は、人材確保と組織づくりの観点からも見直す価値がありそうです。
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