【着替え時間は労働時間?】厚生労働省が判断基準を明示
2026/07/24
企業が見直すべき労働時間管理とは
「制服に着替える時間は労働時間になるのか」「研修や待機時間は賃金を支払う必要があるのか」――。こうした疑問は、企業の労務管理においてたびたび問題となります。厚生労働省はこのほど、労働時間に関する考え方を分かりやすくまとめたパンフレットを公表し、着替えや研修・教育訓練、仮眠・待機時間などについて、労働時間に該当するケースと該当しないケースを具体例とともに示しました。
労働時間の考え方を誤ると、未払い残業代や労使トラブルにつながる可能性があります。企業は改めて自社の運用を確認し、適切な労務管理を行うことが重要です。
着替え時間は「義務かどうか」が判断のポイント
今回のパンフレットでは、制服や作業着への着替えについて、
制服や作業着の着用が任意である 、自宅から着用して出勤することが認められている 、このような場合は、着替え時間は労働時間に該当しないと明示されました。
一方で、会社が特定の場所での着替えを義務付けていたり、衛生管理や安全管理のために事業場で着替えることが必要とされている場合には、労働時間に該当する可能性があります。
企業は、自社のルールや実際の運用を踏まえて判断することが大切です。
「自由参加」の研修でも実態が重要
研修や勉強会についても、形式だけではなく実態によって判断されます。 例えば、 就業時間後の勉強会 、自由参加、 不参加による不利益がない、 といった場合は、労働時間には該当しないとされています。 しかし、 正社員登用の条件になっている、 商品知識など業務上必要な内容である 、参加できるよう会社が勤務シフトを調整している、 といったケースでは、実質的に参加が義務付けられていると考えられ、労働時間として取り扱う必要があります。 「自由参加」と表示していても、実際には参加せざるを得ない状況であれば、労働時間と判断される可能性があるため注意が必要です。
待機時間・仮眠時間もケースによって異なる
パンフレットでは、待機時間についても具体例が示されています。 例えば、 社用携帯を持ち帰る 、緊急時の対応当番ではある、 自宅で自由に過ごせる 、電話対応がなければ業務は発生しない 、といったケースでは、待機時間そのものは労働時間に該当しないとされています。 一方で、事業場内で待機を命じられ、自由な行動が制限されている場合などは、労働時間と判断される可能性があります。
労働時間管理は「実態」で判断される
今回のパンフレットで共通しているのは、 「形式ではなく実態で判断する」 という考え方です。 企業が、 「自由参加」と説明していても実際は参加必須 、「待機」としていても自由に行動できない 、「着替えは任意」としていても実際は職場でしか着替えられない 、といった運用をしている場合には、労働時間と認定される可能性があります。 制度やルールだけでなく、現場でどのように運用されているかを確認することが重要です。
労働時間管理を見直す良い機会に
未払い残業代請求では、始業前や終業後の時間が争点になるケースも少なくありません。 企業では、 制服の着替えルール、 朝礼や終礼 、研修・勉強会 、当番制の待機時間 、勤怠管理方法 など、について、実態に合った運用となっているかを定期的に確認することが望まれます。 管理職にも労働時間の考え方を周知し、現場ごとの運用にばらつきが生じないようにすることも大切です。
社労士からのワンポイントアドバイス
労働時間に該当するかどうかは、「会社のルール」だけではなく、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかという実態によって判断されます。今回の厚生労働省のパンフレットは、着替えや研修、待機時間など、企業から相談の多いテーマについて具体例を示しており、自社の運用を見直す際の参考になります。
特に、制服の着替え場所を指定している場合や、実質的に参加が義務となっている研修については、労働時間に該当する可能性があります。就業規則や労働時間管理のルールを定期的に点検するとともに、現場の実態と制度が一致しているかを確認することが、未払い賃金や労務トラブルの防止につながります。
まとめ
厚生労働省は、労働時間に関するパンフレットを公表し、着替え時間や研修・教育訓練、待機時間などの考え方を具体例とともに示しました。
今回の内容から分かるのは、「自由参加」や「任意」といった形式ではなく、実際の運用や指揮命令の実態が重要であるということです。
企業には、制度だけでなく現場の運用も含めて労働時間管理を見直し、適正な勤怠管理と労務管理を徹底することが求められます。従業員が安心して働ける職場環境を整えることは、コンプライアンスの強化だけでなく、企業への信頼向上にもつながる重要な取組です。
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