育休復帰後の配置転換は不利益取扱いになるのか?
2026/06/20
給与が同じでも注意したい人事異動のポイント
近年、育児休業を取得する従業員が増える中で、企業には「育児と仕事の両立支援」がこれまで以上に求められています。
そんな中、企業からよく寄せられる相談のひとつが、
「育休復帰後に配置転換をしたいが問題ないのか?」
というものです。
実際には、給与を下げていなくても、配置転換の内容によっては「不利益取扱い」と判断される可能性があります。
今回は、育休復帰後の人事異動で企業が注意すべきポイントについて解説します。
育休取得を理由とした不利益取扱いは禁止
育児・介護休業法では、育児休業の取得や申し出を理由として、従業員に不利益な取扱いを行うことを禁止しています。
例えば、
解雇 、降格、 減給 、昇進機会の制限 、不当な配置転換
などが該当します。
企業側に悪意がなくても、結果として従業員のキャリア形成や処遇に大きな影響を与える場合には問題となることがあります。
給与が同じなら問題ない?
実はここが多くの企業が誤解しやすいポイントです。
例えば、
育休前は40名の部下を持つチームリーダーだった従業員が、復帰後は部下のいない一般職へ配置転換されたケースを考えてみましょう。
給与や手当が維持されていたとしても、
管理職としての経験が積めない 、昇進機会が減る 、キャリア形成に影響が出る
といった状況であれば、不利益取扱いと判断される可能性があります。
つまり、企業が見るべきなのは「給料」だけではありません。
業務内容や責任の重さ、将来のキャリアへの影響も重要な判断材料となります。
配置転換が認められるケースもある
もちろん、すべての配置転換が違法になるわけではありません。例えば、
本人が希望した場合、 組織改編など合理的な理由がある場合 、業務運営上やむを得ない事情がある場合
などは認められる可能性があります。
ただし、その場合でも企業には説明責任があります。
「会社の都合だから仕方ない」
ではなく、
なぜ異動が必要なのか 、どのような役割を期待しているのか 、今後のキャリアにどうつながるのか
を丁寧に説明することが大切です。
原則は「原職復帰」
育児・介護休業法では、育休取得前の職務やそれに準ずる職務への復帰が望ましいとされています。
もちろん、企業の状況によって完全な原職復帰が難しいケースもあります。
しかし、
「育休を取得したから管理職から外す」 、「育児中だから責任の軽い仕事に変更する」
といった一律の対応は避けるべきです。
企業側の配慮が、かえって法的リスクにつながることもあります。
人事評価にも注意が必要
育休取得者に対して、
重要な案件を任せない
昇格候補から外す
評価を低くする
といった対応を行うと、不利益取扱いと判断される可能性があります。
育休取得そのものを理由とした評価の低下は認められません。
人事評価はあくまで復帰後の実績や成果に基づいて公平に行う必要があります。
人材定着の時代だからこそ重要な視点
現在、多くの企業が人材不足に悩んでいます。
その中で、育児と仕事を両立できる職場環境を整えることは、法令遵守だけでなく人材確保・定着の観点からも重要です。
育休取得者が安心して復帰し、キャリアを継続できる職場は、採用市場においても大きな強みになります。
「育休を取ったらキャリアが止まる」
そんな不安を感じさせない職場づくりが、これからの企業には求められています。
まとめ
育休復帰後の配置転換は、給与が変わらなくても不利益取扱いと判断される可能性があります。
重要なのは、
✅ 原職復帰を基本とすること
✅ 配置転換の必要性を丁寧に説明すること
✅ キャリア形成への影響を考慮すること
✅ 人事評価の公平性を確保すること
です。
育児と仕事の両立支援は、単なる福利厚生ではありません。
企業の持続的な成長を支える「人への投資」の一つとして、自社の制度や運用を見直してみてはいかがでしょうか。
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