制度だけでは人は定着しない
2026/06/05
人手不足時代に企業が本当に見直すべきこと
近年、多くの企業が「人材不足」に悩んでいます。求人を出しても応募が来ない、採用してもすぐ辞めてしまう、特に中小企業では「ようやく採用できた人材が数カ月で退職した」という話も珍しくありません。
こうした状況の中、企業では給与引上げ、福利厚生の充実、男性育休制度、時短勤務制度、各種手当の新設など、制度面の整備が進められています。もちろん、これらは非常に重要です。
しかし最近、企業支援の現場で強く感じるのは、「制度を整えただけでは、人は定着しない」ということです。実際、制度があっても、「使いづらい空気がある」「上司が理解していない」「現場が忙しすぎて休めない」「相談しづらい」といった職場では、制度は十分に機能しません。
最近の行政調査でも、求職者が重視しているのは、職場の雰囲気、休暇の取りやすさ、人間関係、働きやすさといった“実際の職場環境”であることが分かっています。
特に若い世代では、「給与だけ」で会社を選ぶ時代ではなくなっています。「安心して働けるか」「長く働けるか」「自分を大切にしてくれる会社か」といった点が、企業選びの大きな基準になっています。
また、人が辞める会社には共通点があります。それは、現場の管理職が疲弊していることです。
現在の管理職は、人手不足への対応、若手育成、ハラスメント配慮、メンタルケア、長時間労働対応、業績管理など、多くの役割を抱えています。
その結果、管理職自身に余裕がなくなり、「部下を育てる」よりも「現場を回す」ことが優先されてしまうケースが増えています。
すると、コミュニケーション不足、指導不足、孤立感、評価への不満などが積み重なり、離職につながっていきます。
つまり、人材定着には、「制度」だけではなく、「職場の風土」「管理職の関わり方」「心理的安全性」が非常に重要なのです。
これからの時代は、“採用できる会社”ではなく、“辞めない会社”が選ばれる時代です。
そのためには、業務の属人化解消、コミュニケーション改善、管理職育成、働きやすい職場づくり、適切な労務管理を、経営課題として考えていく必要があります。
社労士としても、単なる制度説明だけではなく、「人が定着する組織づくり」の視点から、企業支援がますます重要になると感じています。
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