離婚後の共同親権制度がスタート ~企業が知っておきたい実務への影響~
2026/06/11
令和8年4月施行の民法改正と人事労務管理のポイント
令和8年4月から、離婚後の「共同親権制度」が導入されます。今回の民法改正は、離婚後も父母双方が子どもの養育に関与しやすい環境を整えることを目的としており、親権や養育費に関するルールが大きく見直されました。これまで離婚後の親権は父母のどちらか一方が持つ「単独親権」が原則でしたが、改正後は父母の協議や家庭裁判所の判断により、共同親権を選択できるようになります。
今回の改正は家庭内の問題にとどまらず、企業の人事労務管理にも一定の影響を与える可能性があります。
例えば、従業員が離婚後に共同親権者となった場合、子どもの健康保険の扶養認定や各種家族手当の取扱いについて確認が必要になるケースが考えられます。共同親権になったからといって直ちに健康保険の被扶養者認定基準が変わるわけではありませんが、従業員からの相談や届出が増えることも想定されます。また、高校進学や長期間の就職など、子どもの将来に大きな影響を与える事項については、共同親権者双方の意思確認が必要となる場面が増える可能性があります。
さらに今回の改正では、養育費に関する制度も強化されています。養育費の支払いを確保するための仕組みが拡充され、給与差押えなどの手続きが利用しやすくなります。そのため、従業員が養育費支払い義務者となっている場合、勤務先に対して裁判所や債権者から照会や通知が届くケースが今後増加することも考えられます。
企業としては、共同親権制度そのものを理解するとともに、従業員からの相談に適切に対応できる体制を整えておくことが重要です。
少子化対策や仕事と家庭の両立支援が求められる中、従業員の家庭環境はますます多様化しています。法改正の内容を正しく理解し、柔軟な対応ができる職場づくりを進めることが、従業員の安心感や定着率向上にもつながるでしょう。
令和8年4月の施行に向けて、今後も関連する制度改正や運用指針が示される可能性があります。企業担当者の皆さまは、早めに情報収集を進めておくことをおすすめします。