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助成金

人材開発助成金・不正受給 経費負担し虚偽申請促す 訓練提供会社を公表 東京ほか4労働局(12/12)

未然防止含め8件発覚  
東京労働局(富田望局長)ほか4労働局は、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」の不正受給に関与したとして、定額制訓練(サブスクリプション型)を提供するコンサルタント業のエッグフォワード㈱(東京都渋谷区)の事案を一斉に公表した。同社は、実質的に事業主の訓練経費を肩代わりする枠組みを考案し、事業主に虚偽の申請を行わせ、助成金を得た後でその一定割合を支払わせることにより、不当に利益を得ていた。5労働局で、計8件の申請に関して企業名公表したもので、うち3件が支給決定に至っており、不正受給の総額は約3000万円に上っている。  東京労働局では、2件の不正受給事案が発覚した。1件は未然に防いだが、1件はすでに支給決定しており、495万円の返還を命じた。  
同社は、訓練を受講する事業主が実質的に訓練経費を負担することなく、助成金を申請させる不正な枠組みを考案していた。事業主に対して、自己負担なしで訓練を受講できるうえに、一定の利益が残ると説明していた。偽りの助成金支給申請書を作成するよう主導するほか、労働局から不正受給調査を受けた際の対応方法まで指南していた。労働局への匿名の情報提供により、不正が発覚している。  
同枠組みでは、まず、同社と事業主の間で訓練契約を締結。その後、事業主に同社の協力会社と役務提供契約を結ばせ、協力会社から事業主に対し、営業協力費などの名目で訓練経費とほぼ同額を支払う。事業主は協力会社からの支払いを原資に、同社へ訓練経費を支払った後、国へ助成金の支給申請をしていた。事業主から協力会社に対する役務提供は行われていなかった。  同労働局職業安定部は、「定額制サービスの訓練に対する助成金は、今年10月から制度見直しが行われ、支給額や回数に上限が設けられた。不正受給防止のため、支給申請や相談に来た事業主に対し、丁寧に説明していく」と話している。  
同社が関与した不正受給事案は複数発覚しており、北海道、福島、岐阜、愛知の4労働局も同日に公表した。不正受給額は、岐阜労働局では990万円、愛知労働局では1485万円。支給決定に至らず、未然に防いだ事案も1件ずつみられた。北海道労働局と福島労働局の事案は、いずれも支給決定に至らず、未然防止している。  今回の事案では、「事業主の悪質性などを考慮」したとして、どの労働局でも申請事業主を公表していない。訓練を行う者が不正に関与したケースでは、申請事業主が不正に関与したことが明らかな場合、事業主名が公表される。

男性育休取得率 「急増し50%到達」で60万円 両立助成金を拡充へ 厚労省(12/12)

代替支援も支給額引上げ

厚生労働省は、中小企業における男性の育児休業取得率向上を後押しするため、両立支援等助成金の拡充を図る。令和6年度補正予算案に拡充案を盛り込んだ。取得率が大幅に上昇した企業向けの出生時両立支援コース第2種助成金については、取得率が前事業年度比で30ポイント以上増えて50%以上となった場合に、60万円を支給することとする。従来は、業務体制を整備し、出生後8週以内の男性取得者が出た企業を対象とする第1種助成金の受給が必須だったが、未受給でも申請できるようになる。育休中に業務を代替する労働者に手当を支給する企業向けの助成金額も引き上げる。

 両立支援等助成金の拡充は、こども未来戦略(令和5年12月閣議決定)において、男性育休取得率の目標が「2025年までに50%、30年までに85%」に引き上げられたことなどを踏まえて実施する。同助成金のうち、出生時両立支援コースと、育休中等業務代替支援コースを見直す。

 前者は、第1種助成金と、第2種助成金で構成。第1種の対象となるのは、労働者への研修実施や相談体制の整備など、男性労働者の育休取得に関する環境整備措置を複数実施したうえで、代替する労働者の残業抑制のための業務体制整備を行った中小企業。子の出生後8週以内に開始する連続5日以上の育休を男性労働者に取得させた場合に支給している。

 第2種は、第1種の受給後に男性の取得率が上昇した企業が対象。現行制度では、第1種を申請した事業年度の翌年度以降3年度以内に30ポイント以上上昇した場合などに最大60万円を支給している。

 見直し後は、第1種を受給していなくても第2種の申請を可能にする。取得率が前事業年度比30ポイント以上伸び、50%に到達した場合や、2年度連続で70%以上となった場合に60万円を支給する。第2種申請時点でプラチナくるみん認定を受けていれば15万円を加算する。

 一方、育休や短時間勤務期間中の業務体制整備のため、業務代替者への手当支給などを行った企業を対象とする育休中等業務代替支援コースについては、育休中の手当支給への助成を従来の最大125万円から同140万円、短時間勤務中の手当支給への助成を同110万円から同128万円に引き上げる。

 具体的には、手当制度を就業規則に規定するなどの業務体制整備経費への支給額を引き上げる。育休の体制整備は、5万円から6万円に、時短勤務の体制整備は2万円から3万円に引き上げる。どちらも、社会保険労務士に委託する場合は支援を手厚くし、支給額を20万円とする。