つながらない権利と勤務間インターバルの適用
2026/09/24
今年のシルバーウィークは、9月19日から23日まで5連休となりました。久しぶりのまとまった休暇を、旅行や家族との時間、心身のリフレッシュに充てた方も多かったのではないでしょうか。一方で、休日であっても会社からメールやチャットが届き、つい確認してしまったり、上司や取引先からの連絡に対応したりと、「休みなのに仕事から完全には離れられなかった」という方もいるかもしれません。
スマートフォンやテレワークの普及によって、いつでも、どこでも仕事ができるようになった反面、「勤務時間」と「私生活」の境界は以前より曖昧になっています。こうしたなか注目されているのが、勤務時間外の業務連絡から労働者を解放する「つながらない権利」と、終業から翌日の始業までに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」です。
特に注目したいのが、2026年9月16日に開催された労働政策審議会労働条件分科会です。今後の労働基準関係法制の議論では、「勤務間インターバル制度」や「つながらない権利」、連続勤務規制、裁量労働制、副業・兼業、テレワーク・フレックスタイム制などが中心的な論点として示されています。
現時点で、「つながらない権利」が日本で一律に法制化されているわけではなく、勤務間インターバル制度についても、すべての企業に導入が義務付けられているわけではありません。しかし、働く人の休息時間や私生活をどのように確保するかは、今後の労務管理を考えるうえで重要なテーマになっています。
本コラムでは、「つながらない権利」と勤務間インターバル制度とは何か、現在の法的な位置付けを確認しながら、企業が今後どのような労務管理を考えていく必要があるのかを解説します。
目次
現代の働き方改革の始まり:つながらない権利とは何か?
現代の働き方改革において「つながらない権利」は、勤務時間外に業務連絡やメールへの対応義務がない労働者の権利を指します。これは、労働者の心身の健康維持と過重労働防止に重要な役割を果たしています。多くの企業では、勤務時間後の連絡を控える文化の醸成やシステム面での対応によって、この権利の実現を図っています。一方で勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後から翌日の始業までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する制度です。2019年4月から、労働時間等設定改善法に基づき、事業主には勤務間インターバル制度の導入に努めることが求められています。
例えば、遅い時間まで残業した従業員について、翌日の始業時刻を繰り下げることで一定の休息時間を確保するといった運用が考えられます。
具体的には、例えば11時間の休息時間を確保することで、疲労の蓄積を防ぎ、十分なリフレッシュを促します。これらの制度は、労働安全衛生法や労働基準法の改正を背景に導入が進み、労働環境の質的向上につながっています。実務では労使間の合意形成や勤務スケジュールの工夫が求められ、適切な運用が重要です。つながらない権利と勤務間インターバルの普及は、より良い働き方の実現に向けた鍵となっています。
つながらない権利の導入で変わる労働者の生活
現代の働き方改革において、「つながらない権利」は労働者の生活に大きな変化をもたらしています。この権利は、勤務時間外に業務連絡やメールへの対応を強制されないというもので、過重労働の防止や心身の休息時間の確保に効果があります。特にスマートフォンの普及により、時間や場所を問わず業務連絡が増え、労働者が常に仕事に縛られてしまう問題を解消する手段として注目されています。一方、勤務間インターバル制度は、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間の休息を義務付けることで、疲労の蓄積を防ぎ、健康的な労働環境を実現します。これらの制度は法的な枠組みが整備されつつあり、重要な労働環境改善策として企業にも導入が進んでいます。労働者の健康維持と生産性向上のため、今後ますます普及が期待される制度です。
勤務間インターバル制度の役割とその重要性を理解する
勤務間インターバル制度は、労働者の健康維持と安全な労働環境を実現するために欠かせない制度です。この制度では、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間の休息を義務付け、十分な睡眠やリフレッシュを確保します。たとえば、日本のガイドラインでは最低でも11時間のインターバルが推奨されており、これにより過重労働や疲労の蓄積を防止できます。勤務間インターバルは単なる休憩時間の延長ではなく、長時間労働の抑制や労働安全衛生の改善につながる重要な役割を果たします。また、「つながらない権利」との併用で、勤務外の業務連絡を断ち切り、メンタルヘルスの向上や生産性の維持にも効果的です。導入にあたっては、労使間の合意や就業規則の明確化が求められるため、適切な運用が成功の鍵となります。現代の働き方改革の中で、これら制度を活用し、持続可能な働き方の実現を目指しましょう。
現場での実践例:つながらない権利と勤務間インターバルの適用事例
現代の働き方改革において、「つながらない権利」と「勤務間インターバル」の導入は、労働者の健康維持と効率的な働き方の実現に大きく貢献しています。例えば、あるIT企業では、勤務時間外の業務連絡禁止を明確化し、社員がオフの時間にメールやメッセージに対応しない環境を整備しました。この取り組みにより、社員のストレス軽減と集中力向上が報告されています。また、製造業の一部企業では勤務終了後から次の勤務開始までに最低11時間の勤務間インターバルを設け、十分な休息時間を保障しています。これにより、疲労蓄積の防止と生産性の向上が実現しています。こうした実践例は、制度の有効性を示すとともに、導入時には労使間での合意形成や労働時間管理の適切な運用が重要であることも示しています。今後もこれらの制度が広まることで、より健全な労働環境の構築が期待されます。
企業が今から検討しておきたいこと
「つながらない権利」や勤務間インターバル制度について、今後どのような法整備が行われるかは、これからの議論を待つ必要があります。もっとも、法改正を待たなければ何もできないわけではありません。
例えば、休日や深夜のメール・チャットについて「原則として翌営業日に対応すればよい」とする、緊急連絡が必要となるケースをあらかじめ決めておく、管理職に対して勤務時間外の連絡方法について教育するなど、企業独自のルールを設けることは可能です。また、勤務間インターバルについても、深夜まで残業した場合には翌日の始業時刻を繰り下げるなど、従業員の休息時間を確保する仕組みを検討できます。
重要なのは、単に「連絡禁止」というルールを設けることではありません。業種や職種によっては、勤務時間外でも緊急対応が必要になる場合があります。
自社の業務実態を踏まえて、「どのような場合に連絡してよいのか」「従業員はどこまで対応する必要があるのか」「勤務間の休息時間をどのように確保するのか」を整理しておくことが重要です。
つながらない権利と勤務間インターバルを導入するためのポイント
現代の働き方改革の中で、「つながらない権利」と「勤務間インターバル」の導入が注目されています。つながらない権利とは、勤務時間外に業務連絡やメール対応を求められない権利で、心身のリフレッシュや過労防止に効果的です。この権利の確立により、労働者は勤務時間外のプライベートな時間を守ることができ、働く意欲の向上にもつながります。一方、勤務間インターバル制度は、勤務終了から次の勤務開始までに一定時間の休息を必ず設けることで、疲労蓄積を防ぎ健康維持を促進します。導入にあたっては、各企業の業務形態や労働時間管理の実態を踏まえ、労使で合意形成を図ることが重要です。また、法的な基準やガイドラインに適合し、適切に運用することで、労働環境の改善と生産性向上の両立が期待されます。これらの制度を活用し、働きやすい環境づくりを進めましょう。
健康で持続可能な働き方を実現するために欠かせない制度とは?
スマートフォンやチャットツール、テレワークが普及したことで、働く場所や時間の自由度は大きく高まりました。その一方で、勤務時間と私生活との境界が曖昧になり、「仕事から離れる時間」をどのように確保するかが新たな労務管理上の課題となっています。
「つながらない権利」と勤務間インターバル制度は、こうした問題を考えるうえで重要なテーマです。
2026年9月16日の労働政策審議会労働条件分科会では、勤務間インターバル制度や「つながらない権利」を含む労働時間法制について、今後議論を進めていく方向性が示されました。
現時点では、これらが一律に企業へ義務付けられているわけではありませんが、今後の法改正の動向には注意が必要です。
企業としては、法改正を待つだけでなく、休日・勤務時間外の連絡ルールや緊急時の対応、翌日の始業時刻の調整など、自社の実態に応じた「仕事から離れる時間」の確保について、今から検討しておくことも大切でしょう。